育成を“卒業”した日本ハム長谷川凌汰投手(25)が、16日ロッテとのオープン戦(札幌ドーム)で、さっそく新しい背番号「43」をお披露目した。7回から2番手でマウンドに上がり、1イニングを1安打無失点。この日の試合前、球団と年俸520万円で支配下契約を締結したばかり。昨季は期待されながらコロナ禍による開幕延期に泣いた右腕が、開幕10日前、新たな戦力としてチームに加わった。(金額は推定)

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見慣れぬ長身の背番号「43」が、札幌ドームのマウンドに堂々立った。開幕10日前、苦労の末に3桁の背番号を“卒業”したばかりの日本ハム長谷川が、3-1の7回、大きな声援に送られ2番手でマウンドに上がった。1イニングを1安打無失点。先頭の中村奨に左前打を許したが、続く安田のバットをスプリットでへし折り、二ゴロ併殺に打ち取ってピンチを切り抜けた。「今日の登板が、一番緊張しました。登録して良かったと思ってもらえるように、気持ちを入れてマウンドに上がりました。(声援は)忘れない。うれしかったですね」。右頬にえくぼを浮かべ、万感の思いを口にした。

19年育成3位で入団。“合格通知”が届いたのは、この日の午後0時40分ごろだった。前日、マネジャーから「明日はスーツで、印鑑を持って球場に来るように」と言われ緊張した。球団と新たに支配下契約を結び、札幌ドームでの全体練習後には、初めて2桁背番号のユニホームに袖を通した。「昨年も今年も、ダメだったらクビなんじゃないかと常に思いながらやってきた」と長谷川。1年勝負と自分に言い聞かせ、実直に追った夢が、ようやくかなった。

コロナ禍に泣いたと言ってもいい。1年目の昨季はオープン戦で結果を出し続け、早期の支配下入りが期待さたものの、開幕延期で実現せず。自粛期間で自主トレ中の6月初旬、左腰を痛めて、大きく出遅れる羽目になった。「何で今なんだと、落ち込みました。でも、あの腰のケガがあったからセルフケアに目が向くようになった」。今年、育成ながら春季キャンプは1軍スタート。栗山監督は「本人にしか分からない悔しさがあったと思うから、こちらも、うれしい。試合のたびに、いろんなことが、うまくなっている」。いくつもの山を残り越えた右腕の姿に、目を細めた。

長谷川が次なる目標として掲げたのは「1年間1軍で戦うこと」だ。「この1週間は、開幕1軍に向けて勝負の期間。執着してやっていきたい」。まずは、目先の開幕ベンチ入りに狙いを定めている。【中島宙恵】

◆日本ハムの育成→支配下選手契約 長谷川で球団3人目。20年7月の高浜祐仁内野手が球団初。高浜は14年ドラフト7位で入団し、19年オフに戦力外通告を受けた後、育成契約を結び、支配下に復帰だった。20年9月には樋口龍之介内野手が球団初の育成ドラフト入団後の支配下登録選手となった。投手では長谷川が初めて。

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