プロ野球選手の全盛期はいつなのか? 身体的な成長や経験値、さまざまな要素が絡んでくるだろうし、個人差もあるに違いない。だが、最大のパフォーマンスが出せる時期というのはだれにでもある。そして、そのピークの状態が長い選手ほど、名選手といえる。巨人王貞治氏を例に挙げれば、プロ4年目に38本塁打を放ってから19年連続で30発以上。わずかにかげりの見えた79年と80年を除いても、17年間もピークを保った。

26歳のエンゼルス大谷翔平投手は、もしかしたら全盛期の幕開けを迎えるのかもしれない。17日(日本時間18日)の試合前の段階で打率5割7分9厘、OPS1・782という驚異的なオープン戦の成績。シーズンでどんな活躍を見せてくれるのか楽しみになるし、これが成長の途上なら、どこまですごい選手になるのか、恐ろしくもなる。

26歳で輝いた選手といえばミスターもそうだった。巨人長嶋茂雄氏は61年に3割5分3厘という生涯最高打率をマーク。28本塁打とで2冠を手にし、セ・リーグ最優秀選手にも初めて選ばれた。長嶋氏の場合、2月生まれのため、実際にプレーしたシーズンは25歳だったが、26歳の学年シーズンでの大活躍だった。

その長嶋氏が以前に話していた。「35歳というのがプロ野球選手には一番いい時期。上下のバランスが非常にいい時。体とともに、なんていうのか非常にいい調子になるのが強い」。実際、長嶋氏は35歳の学年シーズンである70年に105打点で打点王のタイトルを獲得した。20代中盤で全盛期に入っていき、35歳で絶頂期を迎えるのが、ミスター的には王道なのだろう。

この「35歳ピーク説」を今年のプロ野球で検証してくれそうなのはだれか? 楽天涌井秀章投手、ロッテ美馬学投手、巨人井納翔一投手、陽岱鋼外野手、ウィーラー内野手、ソフトバンク・デスパイネ外野手らが35歳の学年のシーズンを迎える。23歳の学年シーズンの阪神佐藤輝明ら、若者のオープン戦での活躍はめざましいが、ベテランの円熟したプレーにも注目したい。【竹内智信】