野球少年がでっかくなって、再び最高峰の舞台で相まみえた。

楽天田中将大投手(32)が巨人とのオープン戦に先発。小学生時代に兵庫・伊丹の「昆陽里(こやのさと)タイガース」でチームメートだった坂本勇人内野手(32)と対戦した。第1打席は四球、第2打席は中飛。力のこもった攻防になった。田中将は7回を投げ1失点と完璧な内容で、予定通り本拠地で行われる27日の日本ハム戦に向かう。腰の状態が心配された坂本も、元気に15年目のシーズンを迎える。

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拍手の音量が増した。1回裏2死、楽天田中将VS巨人坂本。18・44メートルの空間で、8年ぶりに2人が向き合った。

場内の空気が張った。田中将は1ストライクからの2、3球目にスライダーを選択。ともにボールゾーンからボールへ。珍しく2球続けて狙いと外れたが、集中は切れない。ファウルでカウント2-2。外角に沈むスライダーで再び仕留めにいったが、坂本はグッとこらえた。田中将は振り返る。「追い込んでからフォアボールを選ぶあたりは、さすがだなと」。

フルカウントから内角へ直球に力を込めたが、吹き上がり四球。「投げながらいろいろ感じる部分はありました。まだオープン戦。公式戦に入ったら変わってくるところもあると思う。シーズンでいい勝負ができれば」。

7回3安打1失点。シーズン初登板の27日日本ハム戦(楽天生命パーク)への最終登板を89球で終え「特別、何かがすごいよかったわけではないけど、まとめることはシーズンでも大事」と充実感をにじませた。

小学時代に切磋琢磨(せっさたくま)したマサヒロは、打席から輝いて見えた。坂本は4回無死、田中将と2度目の対戦でカウント1-1から真ん中149キロを強振。「あっ」と声を漏らした。飛球はフェンス手前でグラブへ。「立ち姿、マウンドさばきを見ていると純粋にかっこいいなという気持ちで引き込まれていきました。公式戦で対戦できることを楽しみに、次は打てるようにしたい」。

腰の張りもあり、5試合ぶりの実戦復帰。5回の守備から退き「いいコンディショニングで臨めるように準備していきたいです」。2枚の金看板が仕上げに入った。【桑原幹久、久永壮真】

▽楽天石井GM兼監督(田中将に) これまでで一番いいピッチング。何も心配していないですし、信頼しています。

▽楽天小山投手コーチ(田中将に) ストライク先行で投球できたと思いますし、自分がイメージしているようにある程度は投球できていたと思います。

▽巨人原監督(坂本と田中将の対決に) 彼ら2人には、2人の特別な世界があるでしょうね。