日本ハム清宮幸太郎内野手(21)の開幕2軍スタートが23日、決まった。千葉・鎌ケ谷で行った全体練習後、栗山英樹監督(59)が明かした。

高卒4年目で初めて1軍キャンプ完走もオープン戦の打率1割6分7厘、0本塁打と、持ち味の打撃を発揮できずにいた。迷える未完の大器に、指揮官は「ダメ」を連発。1軍再昇格の条件として「(2軍戦で)打ちまくるしかない」と厳命した。

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試練の春に、決断を下した日本ハム栗山監督の表情は険しかった。千葉・鎌ケ谷での全体練習を終え、開幕を1軍で迎えるメンバーを精査。その中に、高卒4年目を迎えた、かつてのドラフト1位清宮の名前はなかった。

栗山監督 今すごく頭が混乱しているバッティングにオレには見える。しっかり自分を固めてから勝負をするべきだと思っている。開幕スタメンじゃないんだったら、ベンチに座っている必要はない。

13試合に出場したオープン戦の打率は1割6分7厘。0本塁打2打点と持ち味の長打力も影を潜め、周囲の期待とは裏腹に、覚醒の片りんすら見せられずにいる。「この時期に方向性が出ていないのが、一番ダメ。やろうとしていることがブレるのは、ダメだろ」。試合中にコロコロと打撃を変える背番号21の姿が、歯がゆかった。

昨季1軍登録を外れたのは、1度だけ。世間の批判に耐えながら、96試合で起用した。成長曲線を描くためにも、経験が必要だと信じたからだ。

栗山監督 去年の経験には意味があるはず。それが整理できて「さあ、この方向へ進むんだ」というものがあるなら、結果は別として必ず前に進む。それが今、自分の中で揺れるのであれば、まずは整理しないと、ここから前に進まない。

次期4番候補として、チームの未来を託すからこそ、言葉は厳しくなった。

高卒1、2年目は故障で出遅れ、昨季初めて開幕を1軍で迎えた。故障以外での2軍スタートは、初めてだ。1軍再昇格の条件は、ただ1つ。「もちろん、打ちまくるしかないでしょ。名前は一切、関係ない」と、2軍戦での大暴れを厳命した。「あいつ、野球が大好きで一生懸命やっている」。心を鬼にして“サクラサク”日を待っている。【中島宙恵】

<清宮の過去3年の開幕>

◆18年 ルーキーイヤーはオープン戦の最中に限局性腹膜炎を患い、約2週間の入院。体重は8キロ落ち、調整が大幅に遅れた。3月の開幕後は2軍で調整し、1軍デビューは5月2日の楽天戦となった。

◆19年 3月のDeNAとのオープン戦で右手有鉤(ゆうこう)骨を骨折。折れた骨片を摘出する手術を受け、開幕戦はリハビリのまっただ中だった。実戦復帰は5月14日イースタン・リーグのロッテ戦、1軍復帰は同24日の西武戦となった。

◆20年 コロナ禍で開幕は6月19日と遅れたが、プロ3年目で初めて1軍でスタートした。その後、故障離脱することもなく、自己最多の96試合に出場。打率は1割9分と過去2年を下回り、本塁打数は3年連続で7本。失策数も自己ワーストの7個と本意ではない成績に終わった。