日刊スポーツが誇る名捕手コンビが忖度（そんたく）なし、暴走気味？ に21年のペナントを占う。谷繁元信氏（50）と里崎智也氏（44）の順位予想対談が2年連続で実現。他の評論家の予想にちゃちゃを入れながら、独自の視点で切れ込んだ。【取材・構成＝広重竜太郎】
セ・リーグは里崎氏が勝負に出た。2年連続で唯一の中日の優勝予想だ。
里崎 もう1年だけ信じようと。5年前から20年に中日は強くなると言って去年は8年ぶりのAクラス。
谷繁 サト、愛知県で何か仕事あるの？（笑い）
里崎 去年は1位予想したが、まったくなかった。でも今年は月刊ドラゴンズに取材を受けました！
谷繁 すごいな！ 俺、ユニホーム脱いで、月刊ドラゴンズの取材ゼロ！
里崎 9回打ち切りはセ・リーグでは中日に一番有利に働くのではと思う。福、祖父江、マルティネスの3枚がいる。昨季は6回以降リードしていたら37連勝もした。五輪の中断期間もあるから、馬車馬のようにも使える。本命じゃないけど一発逆転がある。でもシゲさん、中日4位ですね。
谷繁 勝利の方程式が多少不安かな。福が去年の終盤戦も打たれる傾向にあり、オープン戦であまり良くない。
谷繁氏の本命は阪神だ。
谷繁 戦力が整っていると思う。最初からサンズ、マルテがいて状態がいい。それに新人の佐藤輝どう？
里崎 オープン戦でもなかなか6本塁打も打てない。甲子園でもレフトに打てる。浜風が関係なくなる。
谷繁 オープン戦は相手がどこが打てるかわざと打たせるところがあるとはいえ、自分の打てるところに来たら打てると証明している。シーズン中もみんなエース級じゃない。20～30本は打てる。
里崎 しかも開幕戦が神宮でヤクルト。狭いし、ヤクルトの投手はパワー型がいない。うまくスタートが切りやすい。
谷繁 去年は開幕3連敗が痛かった。1つでも取っていたら、巨人も全然違う結果になっていたかも。
里崎 その中で開幕は藤浪。今年はいい。腕が体の近くを回っていますよね。
谷繁 藤浪は周りがどこまで期待するか。15勝5敗をみんな期待するけど、そうじゃない。1年間とにかくローテを回らせて勝ち負けはちょっと貯金するぐらいに考えれば、ものすごくいい投手なのよ。
昨年覇者の巨人の強さは認めるが、勝負師の2人は本命に推さない。
谷繁 巨人は2位にしたけど、Bクラスにしていつか当てたいと思っている（笑い）。でもさすがに戦力的に見るとBクラスはない。
里崎 桧山さんが3位にしてますね。
谷繁 阪神OBだからじゃないの？
桧山氏は昨年総合2位の的中精度だったことを2人は失念している。
里崎 セは1～3位まで当てていますね。でもパは2個だけ。よく分かっていないのか…。でも18位の僕は人のことは言えないですね。セもパもどっちも分かっていないか。そもそもプロ野球が分かっていない（笑い）。駄目だ！ 人のことを言うと墓穴を掘る。
谷繁氏が忖度しなかったのは古巣に対してだ。最下位に据えた。
谷繁 OBで申し訳ないけど、生え抜きの三浦監督がなって応援は絶対するけどちょっと厳しいなと。オースティン、ソトがいない打線がこんな弱いのかと。
里崎 2人がまともに働いたら40本、40本で80本。
谷繁 2人とも100打点挙げる力がある。
里崎 西武が和製打線で行けるのとはわけが違う。ヤクルトとどちらを最下位にするか迷った。
谷繁 変えてもいいんじゃない？（笑い）
外した時のリスクヘッジか、同じ順位予想に引っ張り込もうとするが、里崎氏も誘いには乗らない。
里崎 オースティン、ソトが早めに来られれば力があるのは間違いない。逆にヤクルトは打線はいけそうだけど、投手陣が田口が入ってどこまで行けるか。でもスアレスは2ケタぐらい勝てると思う。去年も良かった。エース格になれる。
谷繁 サンタナ、オスナもエスコバーにはならないでしょ（笑い）。
広島は唯一、来日している新外国人クロンの浮沈がカギを握る。
里崎 外角の低めをどれだけ我慢できるか。
谷繁 広島は同タイプの外国人が多い。エルドレッドもそうだった。配球を覚えて我慢できるようになったら良くなった。クロンはオープン戦で課題が分かったことも収穫。6、7番で出合い頭の20本、70打点でいいと思えば嫌な存在だ。
里崎 栗林、大道、森浦の新人3人衆が勝利の方程式に入るのはウルトラC。4位にしているけど、はまればAクラスはある。
自由奔放に放談しながらも最後は強力な要求を突きつけてきた。
里崎 動画再生が30万回超えたらご褒美がほしい。
谷繁 担当記者が上司に頼むでしょ。
里崎 笑っているだけで何も言わない…。そもそもお金を払って日刊スポーツを購読しているのに。
谷繁 毎日、家に届くよ。自腹で。休刊日はコンビニに買いに行って。
数カ月の購読料の免除を提案した。
里崎 数カ月だけ？ 10年、5年いや3年でもいいのでお願いします！
谷繁 どうしよう…30万回超えて、順位も全部当たったら（笑い）。
ファン同様に、評論家も開幕前は希望が膨らむ。
