足場を念入りに掘ってからプレートに足をかけた。巨人野上亮磨投手(33)が、605日ぶりに1軍マウンドに帰ってきた。19年10月のみやざきフェニックス・リーグで負った左アキレス腱(けん)断裂の大けがを乗り越えて、再び東京ドームのマウンドに立った。

先月26日の開幕から1週間が経過。開幕ローテ入りした菅野は足の違和感で登録を抹消され、FA加入の井納も再調整。開幕日の2軍戦で6回無失点と好投し好調を維持していた野上に、救世主の役割が託された。

「今日はいろいろな方への感謝の気持ちを持ってマウンドに立ちました」と決意を込めて臨んだ。1回から打者1人1人に真っ向勝負を挑んだ。最速146キロの直球に105キロカーブを織り交ぜ緩急を生かした。5回まで2安打無失点。4回1死で迎えた4番村上には、フルカウントから2、3度、捕手大城のサインに首を振った。一度プレートを外し再度、選択したのはチェンジアップ。129キロを内角低めに落とし空振り三振に仕留めた。

打線の援護のない中、気迫の投球で粘ったが、6回に痛い1発を浴びた。1死一塁で再度村上との対戦。カウント1-1から内角を突いた126キロスライダーを右翼席上段へ運ばれた。打たれた瞬間はマウンドにしゃがみ込んだが、その場で集中を切ることなく、後続を空振り三振、中飛に打ち取り6回2失点。「あの1球は悔いが残ります。同じ後悔をしないためにも、またしっかりと練習したいと思います」。1055日ぶりの先発勝利とはならなかったが、復活を印象付けた。【久永壮真】