広島西川龍馬外野手(26)が6回に均衡を破る今季3号ソロを右翼席に放り込んだ。見逃せばボールとなる悪球を捉えた1発が決勝弾となった。

確実性の高い打撃に加え、右足首手術をへて迎えた今季は下半身主導の打撃で長打力もアップ。今季3号はリーグ2位タイにつける。好投森下を援護し、チームは2週続けて6連戦初戦を白星発進だ。

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ざわつくスタンドやベンチをよそに、西川は涼しい顔でダイヤモンドを1周した。0-0の6回だ。ヤクルト先発スアレスの低めカットボール。見逃せばのボール球となる球に反応した。腕を伸ばしたバットに乗せた白球はきれいな放物線を描き、右翼席最前列に吸い込まれた。ストライクゾーンの定義を「打てそうと思ったところ」という「曲打ち」で均衡を破った。

「(タイミングが)合えば。乗った感じはありました。いい感じに芯に乗って、角度も良かった。今年に関しては下(半身)を使えている。下を使って振りに行ったやつは強く。あまり当てに行きたくない」。

確実性のある打撃を持ち味とする。右足首に痛みを抱えながらプレーした昨季も打率3割4厘をマーク。シーズン終盤には長打力を意識した打撃にも取り組んだ。昨年11月の手術をへて、今季は下半身に不安がない。ここまで3本塁打はチームトップで、リーグでも2位タイ。昨季まで5割を超えたシーズンがない長打率も、5割5分。長打力にも磨きがかかっている。

開幕10試合で打率3割、3本塁打にも「ボチボチ」と本人の表情はさえない。今季初打席で初球本塁打したことが余計に配球を考える材料となり、つなぎの意識の高さも重なり積極性が影をひそめる。この日の試合前練習では迎打撃コーチから「ファーストストライクから打ちに行っていい」と背中を押された。本人は「もったいない打席を減らしたいというのもある。それが待ち待ちになっていたのかもしれない」と持ち前の積極性を取り戻す反省も忘れなかった。

それでもカウント1-1からの積極スイングで均衡を破った1発が決勝弾となり、広島は2週続けて6連戦の初戦を勝利した。佐々岡監督は「さすが。難しい球をね。龍馬が前で打つと、あそこまで飛ぶんだから。(打線が)苦しんでいた中で良かった」とたたえた。21年広島打線の中軸には、確実性に長打力も兼ね備えた頼もしいバットマンがいる。【前原淳】

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