日本ハム栗山英樹監督(59)は夢を追って北海道へやってきた。情熱あふれる人柄は監督就任前から変わらない。監督通算631勝目を挙げ、球団歴代最多に並んだ指揮官は、まだまだ夢を追い続ける。

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栗山監督の好きな言葉は「夢は正夢」だ。最初の夢が実現へ加速したのが38歳だった1999年(平11)。初めて足を踏み入れた北海道・栗山町で、ぽつりと「自分の街に来ているみたいだ」と言った。

同町は現在の生活拠点。きっかけは栗山青年会議所からの誘いだった。知名度アップを狙い、全国で活躍する栗山姓の著名人を集めた「栗山サミット」が企画された。当時の同所理事長・小林米三郎氏(58=小林酒造社長)は「いろんな人に声をかけて、いち早く来てくれたのが栗山英樹さんだった」と回想する。

自然豊かな同町を訪れ、不思議な縁を感じたのかもしれない。同町の人たちと酒を酌み交わした際に、秘めた思いを打ち明けた。「実は僕には夢があるんだ。自分の球場を造ること。ここだったら実現できそうだ」。米映画「フィールド・オブ・ドリームス」に感銘を受けて抱いた夢。具現化へ動きだした矢先に訪れたのが、運命の場所だった。

3年後の02年に、町民のサポートも受けながら「栗の樹ファーム」が誕生。時を同じくして日本ハムが北海道移転することも決まった。当時、栗山監督が熱く語った言葉を小林氏は覚えている。「とにかく『日本ハムを北海道に根付かせないとダメだ』と」。いち野球人としてプロ野球、日本ハムの発展を願う純粋な思いを吐露。さらに新たな夢も口にしていたという。「監督は、やりたいんだ」。

9年後に実現した。11年オフに日本ハムの監督に就任。栗山監督となって追い続ける夢は「選手を喜ばせる」ことだ。その積み重ねが球団歴代最多勝利となった。就任10年目も正夢を追い求める姿は、全く変わらない。【日本ハム担当=木下大輔】