中日福留孝介外野手(43)が「3番右翼」で先発出場し、チームを苦境から救った。

4回に先制の適時二塁打を放ち、連敗ストップに貢献。歴代13位で現役最多の通算400二塁打に王手をかける一打は、決勝点となった。14年ぶりの古巣復帰で初となる本拠地お立ち台に「泣きそうです」とファンに語りかけた。

安打で出塁した大島を京田が送り、1死二塁。「柳が頑張っていたし、1、2番でいい形を作ってくれたので、なんとかして先制点を、という気持ちだった」。気迫も込めて広島九里の118キロカーブを捉え、バットを振り抜くと、打球は右翼線に弾んだ。二塁ベースに滑り込むと、珍しくガッツポーズ。「先制点が入ったので気持ちが出ました」。26日に44歳の誕生日を迎えるベテランが、気持ちと経験でドラゴンズを勝利に導いた。

今季4度目の先発だが、3番起用は初だった。中日では07年7月15日阪神戦(甲子園)以来となる、慣れ親しんだ「3番右翼」で深刻な得点力不足に悩むチームに手本も示した。この試合まで18試合で42得点は12球団ワースト。直近11試合は3点以下が続いた。「チャンスに小さくなってしまって点が取れないという部分も感じていたので、積極的にいこうと」。好調な立ち上がりの九里の緩いカーブに対し、迷わずバットを振り抜く姿で、硬くなるナインに積極性というメッセージを届けた。

14年ぶりのお立ち台から見る景色は、格別だった。「ここに立つというのも目標でしたから。幸せですし、うれしい限りです」。役割を果たし、43歳は元気いっぱいだ。【安藤宏樹】