がむしゃらなスイングが巨人の6連勝を決めた。香月一也内野手が2点を勝ち越した直後の6回2死一、三塁、DeNA上茶谷が暴投と四球で気落ちしたのを見逃さずに、初球を右翼席へ2号3ラン。2試合ぶりの先発起用に応えた。「がむしゃら」をモットーにフルスイングに磨きを掛ける、前日16日に誕生日を迎えたばかりの25歳。1軍生き残りへ、限られた出場機会で必死のアピールを続ける。

迷わず初球を振り抜いた。6回2死一、三塁、香月は143キロの内角低めの直球を右翼席に運んだ。暴投で2点を勝ち越した直後、1球ボールで大城が四球。動揺する上茶谷の失投を逃さず、仕留めにいった。「狙うというより積極的に。もうがむしゃらですから。がむしゃらです。もうほんと、がむしゃら」。3度「がむしゃら」というフレーズをくり返すほどの必死さがとどめの1発を生んだ。

4日に中島、丸、若林、ウィーラーが新型コロナウイルス陽性判定を受けたことで、急きょ1軍に昇格した。チームにとっては主力離脱の危機。「僕にとってはチャンスだった。チャンスをつかむというのをがむしゃらにやって。結果を出し続けたい」。昨季は2軍戦でリーグ5位の11本塁打を放ちながら、1軍では無安打。このチャンスは逃せないと、背水の覚悟で1軍に来た。

2軍では阿部2軍監督の下、徹底的に振り込んできた。昨季9月の移籍から3日後の同12日には約30分、マンツーマンで800球ほどティー打撃を行った。その後も、指導を仰いできた。「スイングはロッテ(の時)よりも強くなっていると思います」と自信も付いた。今季は打率3割3分3厘、2本塁打、5打点。先発出場した6試合では全て安打と必死さが結果に結びついてきた。

16日に25歳の誕生日を迎えた。もがいて、磨いて、ようやくチャンスを手にするところまできた。「気に入ってます。僕らはもう必死なんで。言い続けようと」。プロ7年目。愛着を持って連呼する「がむしゃら」が絵になる男に、なりつつある。【久永壮真】

▼巨人原監督(6回、2点を勝ち越した後に香月が放った2号3ランに)「大きいよね。非常にダメ押し的な、大きな本塁打だった」

◆香月一也(かつき・かずや)1996年(平8)4月16日生まれ、福岡県水巻町出身。大阪桐蔭では3年夏に3番三塁で全国制覇。14年ドラフト5位でロッテ入団。昨年9月に沢村(現レッドソックス)とのトレードで巨人移籍。今季推定年俸700万円。右投げ左打ち。176センチ、83キロ。