阪神近本光司外野手(26)が、今季初の猛打賞となる4安打、3得点で1番の役割を果たした。初回はヤクルト小川の初球に逆らわず左前打で出て、大山の犠飛で先制のホームを踏んだ。試合前まで打率1割7分6厘。調子が上がらなくても「打てると思ったらしっかり打ちにいく」と積極性は失わなかった。「チームが勝ったので、ヒットというより僕は3得点の方がうれしいですね」。頼れる切り込み隊長が戻ってきた。

矢野監督も一安心だ。「そんなにメチャクチャ悪くないのに結果が出ないっていうね」と心配していたが「今日はバットにおまじないをした。『打てるぞ』と言って俺がおまじないをしているようにして、打てたから」。詳細は明かさなかったが、指揮官の“念”は近本のバットに伝わったようで「火曜日もおまじないします」と笑わせた。

5点を奪った3回の近本は無死一塁で三塁側へ打球の勢いを殺した絶妙なセーフティーバントを決めた。直前の守備で降雨による一時中断があり「有効かなと思った」とグラウンドコンディションを冷静に分析。「狙ったところに転がせたのはうれしかった」。頭を使い、足でもぎ取った1本に“らしさ”が詰まっていた。「川相さんに教えていただいた左足の使い方がしっかりできた」。春季キャンプで臨時コーチを務めた川相氏が解説に訪れていた一戦で、その指導にも応える一打にもなった。

4回は内野安打、8回は左前へクリーンヒットと勢いは止まらない。「今まで周りに助けてもらって、支えてもらって、足を引っ張ってましたけど。自分が出てかえってくる、しっかり状況をつくることができて、また明日からも頑張っていきたい」。どん底は十分味わった。首位を走るチームの勢いに乗り、ここからはい上がる。【中野椋】

▼近本の1試合4安打はプロ最多タイで、20年11月1日DeNA戦以来9度目。17日までの打率1割7分6厘から2割1分5厘へ引き上げた。昨年初の4安打となった7月26日中日戦でも、前日25日の1割9分4厘から2割2分4厘へと、1割台を脱出し2割台へ乗せている。昨季はここから調子を上げ、年間最終打率はチーム規定打席到達者最高の2割9分3厘。今年も上昇していきたい。

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