相手に傾いた嫌な流れを取り返す一打を放ったのは、阪神ドラフト6位中野拓夢(24)だった。7回に最大8点差を3点差までされた直後の攻撃。無死二、三塁から佐藤輝と坂本が力ない内野フライに倒れて嫌なムードが漂った中、左腕坂本の高め146キロを左前に運んだ。2者が生還すると、一塁ベース上で右拳を突き上げた。「前の2人が凡退していたので、何とかカバーする意味でも自分が打ってやりたいなという気持ちが強かったので打てて良かったです」。ある意味、3回の一挙5得点よりも重みある2点を生み出した。

派手なアーチで話題をさらう同期のドラフト1位佐藤輝が2戦連続無安打に終わる中、中野は7戦連続安打と好調を保っている。左投手からも打率4割と結果を残しており「手応えは非常に感じている。左の投手を打っていければスタートで出られる確率も上がってくると思う」と自己分析する。

ただ、遊撃の守備では反省もあった。8回2死三塁でゴロをさばいた後、一塁送球が高くなってチーム今季初の適時失策がついた。矢野監督も「大きな2点でしたけど、守備が。アウトにするプレーまでいければもっと最高でしたね」と高いレベルを求めて注文を付けた。6試合連続でスタメン中だが、定位置を固めるためレベルアップを目指していく。【林亮佑】