上位3チームは0・5ゲーム差の混戦模様。開幕5連敗だったロッテも1週間負けなしと、混戦模様のパ・リーグ。どのチームにも、キラリと光るプレーをみせた選手がいる。日刊スポーツの12球団担当記者が独断と偏見+愛情? で選んだ先週の球団別MVPを紹介。パ・リーグ編です。

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【ソフトバンク和田毅投手(40)】40歳のベテラン左腕和田が、14日オリックス戦で今季初勝利。球団では01年の長冨以来、20年ぶり3人目となる40代投手の白星となった。最速145キロ前後の直球を軸に6回2/3を4安打無失点。相手エース山本に投げ勝った。昨季チームとして貯金を12個も作った「お得意さま」にここまで3連敗だったが、きっちり止めた。和田自身も現役最多となっているオリックス戦の通算勝利数を29(8敗)まで伸ばした。若手の手本となる97球の熱投だった。

【楽天涌井秀章投手(34)】貫禄のピッチングを見せつけた。チームは9日ソフトバンク戦から3分け3敗。打線も低調な中、16日日本ハム戦で121球の熱投で7回5安打1失点。直球がさえ渡り、10奪三振。2桁三振を奪っての白星は11年ぶり。開幕から4試合連続ハイクオリティースタート(7回以上自責2以下)を達成した。“エース”の看板を長年背負ってきた。チームが大変な時こそ、力を発揮する。プロ16年間で洗練された底力を発揮。翌日に8年ぶりの国内公式戦登板を控えた田中将の投球に「いち野球選手として見たい」と成長への足がかりとしようする姿勢に、通算147勝を積み上げた実績を裏付けるものを見た。

【西武森友哉捕手(25)】走攻守すべてにおいて躍動した。走っては、14日の日本ハム戦では相手の意表を突き、今季初となる二盗。得点圏に進むと、適時打で生還した。守っては今季7度目の盗塁阻止。打っては16日ソフトバンク戦、3号勝ち越しソロを放ちお立ち台へ上がった。この2試合いずれも勝利し、この1週間を2勝2敗1分けで勝率5割をキープ。森の献身的なプレーが、随所に光った。

【ロッテ藤岡裕大内野手(27)】この週6試合の打率は2割7分3厘と突出してはいないものの、出塁あり適時打あり犠打あり、得点に多角的に絡んだ。スタメン起用後の10試合は打率3割1分4厘と好調を維持する。チーム方針で大胆な守備シフトが増え、遊撃の藤岡は二塁のベースよりも二塁手定位置寄りの深めを守る場合がある。不慣れな場所でも臨機応変にゴロを処理しピンチの芽を摘むなど、貢献度が高い。遊撃を本職とする新外国人エチェバリアの1軍合流が迫る。藤岡の必死さはチームに良い効果をもたらしている。

【オリックス杉本裕太郎外野手(30)】13日ソフトバンク戦から6試合連続安打中と好調をキープ。この間、19打数9安打の打率4割7分4厘。16日ロッテ戦で2号ソロ、17日同戦では3号2ランを京セラドーム大阪の左翼5階席に運んだ。状態が上がっている理由について問われると、笑顔でとっておきのエピソードを明かした。「実は、今週からロッカーに置いてあるT(岡田)さんのディオールの香水を勝手に使ってます。全く同じものを自分でも持っているんですけど…。黙って使ってたら3日目にバレてしまって。おかげさまで打ててますと言ったら『もっと使っていいよ』って。優しいです。打てなくなるまで使いたいと思います」。

【日本ハム中田翔内野手(31)】待望の1発を、みんなが待っていた。17日楽天戦(東京ドーム)の初回。両目をパッチリと開け、高めの直球をバックスクリーン左へ運ぶ1号2ラン。国内復帰初戦の田中将から打った。自身最遅となる開幕から67打席目でのアーチを、注目を集めた試合で放つあたりが役者だ。さらに2号ソロも放って、ついに4番が「開眼」した試合は快勝。お立ち台で「いろいろあって、目が腫れていたんですけど」と、7日のソフトバンク戦のベンチ裏でバットを折った直後に右目を負傷したことを自虐的に切り出したが、つき物が取れたような笑顔が反攻を予感させた。