クリーンアップ3人の5発で大勝した夜。最後は4番大山悠輔内野手(26)が勝利を決定づけた。4点リードの9回表1死一塁。左腕戸根の内角ツーシームにスピンをかけた。長い滞空時間の後、左翼席最前列にダメ押し3号2ラン。今季自身初の1試合2発で7年ぶりの8連勝に導き「チームの勝利が一番うれしい」と静かに笑みを浮かべた。

打球に角度が生まれ始めている。2点リードの3回無死。3番マルテの2ランでリードを4点に広げた直後、右腕サンチェスをマウンドから引きずり下ろすアーチもかけていた。「勢いのままというか、次の1点、次の1点というところだったので」。1ボール2ストライクから外寄りカットボールを逆らわず、それでいて強振。オレンジ色に染まった右中間席に2者連続弾を運び、東京ドーム全体をどよめかせた。

2戦連続3打点。15日広島戦の今季68打席目でようやく今季1号を放ってから、明らかに復調気配が漂う。矢野監督は「打球の角度がだんだんつきだしているところが甲子園からあった」と納得した上で「悠輔も2本出たというのも本当に大きい」とひと安心だ。大山が打点をあげれば引き分けを挟んで19連勝。「不敗神話」を背負う4番の上昇は何よりの朗報だ。

今年も地道にスイングを体に染みこませてきた。腰背部の張りから復帰して間もない3月上旬。オープン戦で3三振を喫すると、すぐさま全体練習前の個別メニューを再開した。「できる時はやっていきたい。やることによっていい入り方ができるし、自分の流れもできる」。積み重ねた努力は裏切らないと信じる。

これでリーグ2位タイの17打点。いつの間にか本来の持ち味が数字に反映され始めている。「いい流れで来ている。そんな辛気くさい顔というか、落ち込んた顔をする理由もない。しっかり喜ぶところは全員で喜んでいい。そこで油断や気の緩みがないように、次のプレーから切り替えることが大事」。いい時も悪い時もブレない4番が、頼もしい。【佐井陽介】

阪神井上ヘッドコーチ(クリーンアップが5発)「気分はいいよね。悠輔(大山)にしても、ジェリー(サンズ)にしても。入るから。でも試合を勝ち負けで考えたら(東京ドームは)セーフティーリードがないよという戒めにしないといけない。リュウ(梅野)が打った。あれはすごく大きい。そういったものを継続していきたいし、本人たちもよし、今度は俺が、俺がってなってくれているのが、いい方向に導いていくんじゃないかなと」

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