その瞬間、虎党の誰しもが思った。今日も勝ったで-。快進撃の中で生まれた先制神話。阪神近本光司外野手(26)の放物線が夢を与えた。巨人先発畠の立ち上がり。151キロ直球を捉えると、打球は右翼席中段へ飛び込んだ。「甘く入ってきたボールをしっかりと捉えることができた」。今季2本目、通算6本目の先頭打者本塁打は、和田豊、マートン、鳥谷敬に並び、球団歴代6位タイ。チームの歴史を彩ってきた1番打者の記録に名を連ねた。「いいスイングができた」と納得の表情だった。

チームが首位を走る中、1人苦しんでいた。打率は1割台と2割台を行ったり来たり。ともに低空飛行だった4番大山は、前日20日に2発で完全復調を印象づけた。リーグトップの打率、得点を誇るチームで、1番近本が取り残されていた。

昨季も開幕月は打率1割台。そこから最終2割9分3厘まで修正した地力が、近本にはある。18日ヤクルト戦(甲子園)での4安打から、これで今季2度目の3試合連続安打。昨季8打数3安打で打率3割7分5厘と相性のいい畠を踏み台に上昇モードだ。井上ヘッドコーチも「今日もいけるで、というものを出してくれたのは先頭打者」とたたえた。好調なチームにリードオフマンが復調とくれば、鬼に金棒だ。

チームは先制すれば今季16連勝中、本塁打が出れば13連勝中だったが、逆転負けで「不敗神話」は崩れた。07年以来の9連勝を逃したが、近本の復調気配はプラス材料。「毎日勝ちたいと思っているし、やられたやつに対して何もない気持ちで臨むこともない。プロである以上、やられたらやり返すというのは当たり前のこと」と矢野監督も前を向いた。22日の巨人先発は前回8回途中無失点に抑えられた左腕高橋。敵地でカード勝ち越しを決め、再び連勝街道を走る。【中野椋】

巨人-阪神ライブ速報はこちら―>

阪神ニュース一覧はこちら―>

セパ勝敗表はこちら―>