村上氏よ、天罰が下るぞ! 村上世彰氏率いる投資ファンド(村上ファンド)による阪神電鉄株の大量保有問題で、阪神タイガースの星野仙一SD(59)は15日、事実上の「経営支配」が続く村上サイドに猛反発した。この日、大阪市内の電鉄本社で行われた電鉄役員と球団役員による定例報告会に出席。阪急ホールディングスとの株式公開買い付け(TOB)が不調に終わり、ファンド側の取締役選任要求が通った場合、金銭目的によるタイガース売却がありうると断言。「村上氏には天罰が下る。タイガースを渡すな!」などと訴えた。

過激だった。星野SDは顔を真っ赤にして村上サイドへの怒りを表した。「オレはマグマがたまっとるんや!」。定例報告会とは別に「村上問題」について電鉄トップと意見交換を交わしたことを明かした上で、村上流「経営支配」の手法を厳しく批判した。

「法律の目をかいくぐるのは、今は頭がいいとされてることかもしれんが、あとあと絶対、天罰が下る。間違いない、断言したる」またライブドア元社長の堀江貴文氏の逮捕を引き合いに「ホリエモンは捕まって何であの人は(検察に)呼ばれないんや。同じようなことをやってるのに…」とまで言った。

ここまで怒りをあらわにするのはタイガース存亡の危機感からだ。「野球人」を公言する星野SDが村上サイドと相反する最大の理由はこれまで見せた「利益至上主義」だ。金銭目的で、ファン無視の球団売却も十分起こりうる、との持論を強く警告した。

「村上さんはタイガースを売っちゃうかもしれん。今の法律では(可能性が)あるでしょう。法の目をくぐるのが得意な人だから。本当に分からんよ。はっきり言って(タイガースは)メチャクチャになる。ファンもいたたまれないと思う。人のお金集めて大事なタイガースをもっていかれたんじゃ。よくハゲタカとかいうけど、それと一緒やん」

チームは貯金6の3位と連覇へ好位置キープ。この日の手塚オーナーへの現状報告も「絶好調」と開口一番語ったというだけに、グラウンド外の“騒動"が余計に悔しい。ペナントレースに集中できないナインの気持ちを憂うと、なお怒りが増した。

「(野球を)70数余年の文化としてまったく見ていない。現に『金もうけのため』と言ってるだろ。そんなんで何でファンだとか文化が守れる。(タイガースの)運営なんてできるわけない」

6月29日に予定される阪神の株主総会で村上サイドの株主提案が認められれば、経営権は完全に村上ファンド側に渡る。「最後まで抵抗したい。野球界のためにタイガースのために」。自らの進退をかけ徹底抗戦の構え。最後まで激しい口調でファンの後押しを期待した。【片山善弘】

 星野SDの強烈な“援護射撃"に阪神電鉄会長の手塚オーナーは感謝を示した。「星野SDには(チームのことを)真剣に考えていただいているということで非常に感謝しております」。ただ村上ファンド側との協議の進ちょく状況については「今の時点で私の口から申し上げることは本当にない。ご理解いただきたい」と話すにとどめた。牧田球団社長も「星野SDには球団に対して思うところを言っていただき非常に心強い。我々が言うよりもさらに強い気持ちで選手にエールを送っていただけたということで、ありがたいですね」と話した。