楽天田中将大投手(32)が日本復帰後初の本拠地登板に臨み、6回68球3安打1失点で、今季初勝利とNPB通算100勝を達成した。

初勝利は07年4月18日のソフトバンク5回戦(フルキャスト宮城)で、通算100勝はプロ野球139人目。10年岩隈が楽天在籍時に100勝を記録したが、楽天だけで100勝したのは田中将が初めてになる。通算177試合目での100勝到達は、39年スタルヒン(巨人)の165試合目に次ぎ、48年藤本(巨人)に並ぶ歴代2位タイのスピード記録となった。

ももいろクローバーZの「吼えろ」をBGMに、スタンドの「おかえりボード」で仙台のマウンドに背番号18が迎えられた。初回。先頭若林にいきなり強い打球を左中間へ飛ばされたが、中堅手辰己がランニングキャッチ。田中将は帽子をとって、感謝の気持ちを示した。3者凡退で立ち上がった。

すると直後に味方が2点を先制。援護を背に2回は先頭中村に左前打を許したが、続く栗山を一ゴロ併殺。愛斗を空振り三振に仕留めた。

だが3回、西武打線の粘りに得点を許した。先頭スパンジェンバーグをリクエストの末に死球で出し、二盗も許した。無死二塁から呉念庭にスプリットを救われ、1点を返された。それでも簡単には崩れない。2死一、三塁までピンチを広げたが、森を二ゴロに打ち取り、寄せ付けない。

4回以降は8、14、5球と打たせてとる投球で3イニングとも3者凡退に抑えた。6回68球と前回登板よりも少ない球数だったが、ベンチで石井GM兼監督、小山投手コーチから声をかけられ、マウンドを降りた。「粘り強く抑えられて良かったです」と淡々と振り返った。

当初は開幕2戦目、3月27日日本ハム戦で本拠地、今季初登板の予定だったが右ヒラメ筋損傷で直前に回避。「楽しみにして、待っていてくれた方々もいらっしゃると思いますし、そこに合わせてチケットを取ってくださった方もいたと思う。やはりその時はものすごく心苦しかった」とファンの思いをくみ取った。「予定より約1カ月遅れて、こうして投げられるということで、もちろん楽しみですけども、こういった状況の中でも変わらずプレーできるということにも感謝しながら、投げたいなと思います」とコロナ禍で制限のある中、観客の前で腕を振れることに特別な思いを持った。

復帰2戦目。まだ完調ではない中でも巧みな投球術を駆使し、引き分けを挟むチームの連敗を2で止めた。自身の国内公式戦連勝は前回登板の17日日本ハム戦で5回3失点とし、28で止まった。それでも「特にピンと来ない」と意に介さない。13年11月3日、巨人との日本シリーズ第7戦以来、2729日ぶりとなる杜(もり)の都のマウンドで、新たな1歩を踏み出した。【桑原幹久】

▽楽天石井GM兼監督(6回68球で降板した田中将に)「球数も順調に少なく投げてくれて(5回後のグラウンド整備を挟み)イニングまたぎの6回だったので、あの辺が代わりどころかなと判断して、次のリリーフに託しました」

▽楽天岡島(13年日本一時のレギュラー。1回に6試合連続安打となる右前適時打)「田中さんにも1つでも多く勝ってもらって、チーム全体として日本一に向かっていきたい」

▽楽天ディクソン(1回に三塁適時内野安打で来日から2戦連続打点。田中将へ先制点をもたらし)「彼の記念すべき日に後ろで守れて光栄だった。彼の素晴らしい記録に少しでも貢献できて本当よかったよ」