1軍と2軍、立ちはだかる壁は高い。ロッテ高部瑛斗外野手(23)は必死に越えようとしている。

三塁側スタンドへファウルで粘り続け、好球を待った。4回1死一塁、カウントは2-2。ソフトバンク高橋礼の内角低め直球を、しっかり引っ張った。低く伸び、そのまま右翼テラス席へ。記念のプロ1号は逆転2ランになった。

プロ2年目。開幕1軍をつかみながら、4月を待たずして2軍再調整になった。「意地でも結果を出して1軍にあがってやろうと、そういう気持ちでやっていました」。イースタン・リーグでは13試合で打率4割4厘、2本塁打、11打点、7盗塁。2軍はもう卒業の域にある。

しかしこれまで2度、1軍の切符をつかみ、結果を出せなかった。「受けていた部分があるというか、今年はもう、どんどん攻めていったろうと思って、攻めて失敗ならもういいわって思えるようなくらい」。昨年は同時期に1軍昇格した藤原に、つかみたい座を持っていかれた。無我夢中で追いすがってきた。

研ぎ澄まされた打席での集中力で、国士舘大時代に東都大学2部リーグの安打記録を塗り替えた。天才肌に見えるが、本人は首を横に振る。「僕は自信ないです。だからこそ、だと思います。もう多分、僕の性格上、一生つかないと思うので、だからこそ練習もできるし」。悔しい思いをしてきたからこそ、つかんだチャンスは逃せない。

昨冬の契約更改では「少しでも上に行って、上からどう見えるのかを自分の中でも楽しみにしています」と誓っていた。ついに1軍で本塁打を放った今を「やっと土台に立ててるんじゃないかなっていう気分」と表現した。1つずつ足場を重ねた先に、違う世界が見える。【金子真仁】

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