1ゲーム差に上位3チームがひしめく混戦は続く。5位オリックスもこの1週間4勝1敗1分けと虎視眈々。どのチームにも、キラリと光るプレーをみせた選手がいる。日刊スポーツの12球団担当記者が独断と偏見+愛情? で選んだ先週の球団別MVPを紹介。パ・リーグ編です。

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【ソフトバンク甲斐拓也捕手(28)】

20日楽天戦では得意の北九州で3号3ランを含む3安打で、自己最多の5打点と大暴れ。23日ロッテ戦でも決勝打を放つなど、打撃好調で5試合で18打数10安打、打率5割5分6厘と打ちまくった。リード面でも投手陣を引っ張り、週間3勝2敗の勝ち越しに大きく貢献した。

【楽天田中将大投手(32)】

右腕でわかせた。24日西武戦で日本一となった13年11月3日、巨人との日本シリーズ第7戦以来2729日ぶりの本拠地楽天生命パークのマウンドへ。今季2度目の登板を5回3失点とし今季初勝利&日本通算100勝を達成した。球団は田中将の復帰登板を盛り上げようと、開幕前から準備を重ねた。特別ムービー、ボードなどで球場内外に演出が施され「おかえり」ムードが漂った。田中将はチームの勝利だけでなく、球団全体の動きを引き出し、東北を発信地にさまざまな野球ファンへ熱を届けた。

【ロッテ 荻野貴司外野手(35)】

1番打者の役割を存分に果たした。今週6戦で打率5割ちょうど。27打席中15打席で出塁し8得点。特に24日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)では、6打席中5度出塁し、相手に19安打される苦しい流れでの逆転勝利に大きく貢献した。井口監督が「1番から3番までつないで、ほぼランナーがいる時に4番安田みたいな、そういうのが続いています」と喜ぶ展開の源になっている。6戦9安打で積極走塁が目立つ中村奨の活躍も見逃せない。

【西武コーリー・スパンジェンバーグ内野手(30)】

23日から1軍合流を果たすと、実戦不足の不安をすぐにぬぐい去った。合流即スタメン出場し2安打1打点2四球と出塁率10割。翌24日の試合では死球を猛アピールでリクエストの末に認めさせ出塁した。すると二盗を決め、適時打で生還し、結果的に楽天田中から唯一の得点をマークした。守備では3連戦で二塁、三塁、左翼につき、相変わらずのユーティリティー。さらに特筆すべきは11打席で三振ゼロ。昨季12球団ダントツ最多150三振で“三振王”だった面影はなく、変貌を遂げて戻ってきた。

【オリックス富山凌雅投手(23)】

鋭い眼光で捕手のサインにうなずく救援左腕は、18日ロッテ戦(京セラドーム大阪)の8回に登板し、3者連続三振。興奮がゆえ「何も考えず無意識」で、歓喜の「ナハナハポーズ」を披露。その後も好救援で、1週間で計4度も「ナハナハポーズ」披露。今週は3試合で3イニングを無安打無失点。25日の日本ハム戦(札幌ドーム)でも1点リードの8回に3者連続三振。タレントのせんだみつお(73)が、両手を顔の横に上げ、前後に動かしながら「ナハナハ!」と笑わせるギャグがあるが「(伏見)寅威さんや平野佳寿さんが教えてくれました」と23歳の富山は世代が違い“本家”は知らない。“魔法の言葉”は「娘が犯人に捕まっている!」。先頭打者と対戦する際に考えており、水本ヘッドから「(広島の)黒田さんが実践されていた」。14人きょうだい6番目の三男。姉3人、兄2人、弟8人。娘に加えて、守るべき人がたくさんいる。

【日本ハム石川亮捕手(25)】

6試合で3本塁打の近藤と迷ったが、8年目の25歳を選んだ。22日ロッテ戦では先発池田を好リード。打っても決勝打の活躍でチームの連敗を止めた。25日オリックス戦でも、冷静な判断で二塁走者を刺し先発金子を救った。栗山監督も「必死さが出ている間は使いたい」。そのガッツは、上昇気流に乗れないチームの中で、ひときわ光った。