広島ドラフト1位の栗林良吏投手(24)が、デビューから13試合連続無失点とし、ソフトバンク甲斐野が19年にマークしたドラフト制後の新人最長記録に並んだ。

1点ビハインドの9回に登板。先頭のスモークをフォークで空振り三振。好調ウィーラーもフォークで遊ゴロに仕留め、若林は内角直球で一ゴロ。「ビハインドの方が緊張感があった」と言うが、中7日の登板でも一切の隙を与えず、3者凡退で偉業を成し遂げた。

「チームの勝利のためにマウンドに上がることができた。ゼロを継続して。勝ち試合もビハインドの時でもチームに勢いをつけられる投球をしていきたい」

栗林はオーバースローで、角度のあるボールを投げるのが魅力の1つだ。しかし名城大時代までは、横滑りに変化するスライダーを武器としていたことから、スリークオーター気味のフォームだったという。トヨタ自動車に入社してすぐ、同僚の捕手に「スライダーよりカーブの方がいい」と助言を受けた。「カーブは縦の変化で投げたかった。そこから勝手に上から投げる形になりましたね」。

オーバースローに切り替わったことで、多くの面でプラスに転じた。「直球が縦回転になって、強い球もいくようになった。制球もつきやすくなりましたし、イメージ通りの投げやすいフォームになりました」。名城大4年時のドラフト会議では指名漏れを経験。悔しさをバネに社会人2年間で確かな進化を遂げ、プロの世界で圧倒的な力をみせつけている。

チームに流れを呼び込んだが惜しくも勝利で記録に花を添えることはできなかった。しかし球史に「栗林」の名を刻んだことには違いはない。【古財稜明】

▼広島栗林が初登板から13試合連続無失点。新人のデビューから13試合連続無失点は、19年甲斐野央(ソフトバンク)に並び2リーグ制後2人目の最長となった。栗林はスコア2-3の9回表に登板。リードされている状況で登板したのは初めて。