石巻専大が日大工学部に7-2で勝ち、17年春以来、7季ぶり7回目の優勝を果たし、6月7日からの全日本大学野球選手権出場を決めた。

石巻専大ナインからは試合中終始「執念」という言葉が飛び交った。ライバルの東日本国際大が新型コロナウイルスの影響で出場を辞退、優勝は石巻専大か東北公益文科大かと目されたが、勝つことはそう簡単ではなかった。だからこそ“何とかアウトを取る、何とか塁に出るという執念”を前面に出し、試合に臨んだ。5-2で迎えた9回の追加点はその執念から生まれた。

9回2死、1番半沢が振り逃げで出塁。続く斉藤が左翼へ二塁打で2死二、三塁。そのチャンスを主将の門脇瑠太(4年=九里学園)がものにした。外角直球を左翼線に2点適時打。日大工学部を7-2と突き放した。門脇は「みんなに打たせてもらったヒットだと思っています」とチームメートに感謝し、「すべてのプレーを鮮明に覚えています。優勝の瞬間は人生で一番感動しました」と喜びをかみしめた。

全日本大学選手権に向け酒井健志監督(43)は、「多くの方の協力に感謝し、南東北の代表として恥じないようにプレーをしていきたい。その結果で、被災された方々に勇気を与えるいい発信ができるように戦っていく」と意気込んだ。震災から10年。代表を勝ち取った同校は地域を背負って全国へ挑戦する。