巨人の4番史に、岡本和真内野手(24)が名を連ねた。「日本生命セ・パ交流戦」の西武戦。4回1死、2試合連続となる15号先制ソロで、歴代7人目となる、巨人の先発4番の通算100号に到達した。試合は9回に追いつかれて引き分けたが、5回には中前適時打を放つなど、2安打2打点で4番の働きを示した。巨人以外の11球団アーチ達成で最速24歳11カ月での大台に達した主砲には、王貞治と長嶋茂雄に続く300本塁打到達も夢ではない。

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体勢が崩されても、岡本和には関係なかった。4回1死、西武松本の低めスライダーにやや泳がされながらも、バッターボックスの長さ1・8メートルいっぱいに踏み込んで下半身からグッと力を乗せた。バックスクリーン左へ、リーグトップタイの15号先制ソロ。柵越えと気付かなかったのか、三塁手前まで全力疾走。息を切らしながらナインとハイタッチで喜んだ。「打てて良かったです」。そのひと言に感情を込めた。第3打席では2死一、二塁から中前適時打。打点をリーグ単独トップの46に伸ばした。

プロ1年目の15年9月5日DeNA戦。プロ3打席目に代打でプロ初安打を初本塁打で決め「忘れられない感触になると思う」と言った。19歳の岡本和は1年目を終え、「びゅっと来て『130キロしかでてないの? 』って。1軍の投手の球を見られた。真っすぐ待ちながら変化球を打てたらいい。でも、速い球、前に飛ばないんですよね…」と、プロの世界のレベルの高さを痛感した。

18年6月2日、オリックス戦が「4番岡本和真」の誕生日だ。2年間本塁打から遠ざかった後、覚醒。シーズンで9本塁打を積み重ねて21歳11カ月で4番に座ると、第1打席で特大弾を決めた。「巨人の4番」になってから、2日でちょうど3年。節目の1発で勝利に導けず「また1本、1本しっかり打てるように頑張ります。なによりチームの勝ちにつながる一打、ホームランが打ちたい」と、気持ちを新たにした。

4番で100本塁打を達成した先輩でもある原監督は、記念球に書き入れたメッセージについては「なんて書いたかな? 忘れた、忘れた」と苦笑いしたが、賛辞を惜しまなかった。「もう俺なんか比じゃない(笑い)。はるかに(岡本)和真の方が素晴らしい4番打者だと思いますよ。王さん、長嶋さんの記録を抜く可能性をうんと持っている人だと思う」。巨人の4番にはこれまでも、これからも、頼れる岡本和真が座る。【小早川宗一郎】