答えなき道のりを、試行錯誤しながら歩き続ける。ヤクルト石川雅規投手(41)が、大卒史上初の20年連続勝利を達成した。

西武戦で今季2度目の先発登板。5回3安打1失点とまとめた。試合は降雨のため、5回裏攻撃中コールドゲーム。神宮で傘が広がる中、自らの記録を更新する現役最多の174勝目を手にした。

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降りしきる雨も、20年目のベテランには関係ない。「ゴロが抜けやすいというのがあったりするけど、僕自身ゴロで打ち取るピッチャー。抜けたらしょうがないと目の前のバッター1人1人という気持ち」。石川は冷静に打者と向き合った。130キロ台前半の直球と変化球を織り交ぜ、コーナーを丁寧に突く投球で山賊打線を手玉に取った。

「今日の1勝というのは一番思いがある1勝なのかな」

オープン戦では防御率30・86と打ち込まれ、開幕2軍スタート。1軍での今季初登板は4月16日阪神戦(甲子園)で、この日が2度目。長いファーム生活で、家族と過ごす時間が増えた。高校1年生の長男と中学1年生の次男が、あえて野球を見ないようにしていることも感じた。「悪いなと思いながら、僕は携帯で見たりしているんですけど」と笑うが、静かに闘志を燃やし続けた。「まだまだ父ちゃん1年でも長くやりたいぞという気持ちと、なんとか1軍のマウンドに立っている姿を見せたいというのが強い」。再びはい上がるため、ファームでの結果にこだわった。

2軍ではトレーニングや調整法を変えることもあった。「正直何が正解か答えがない」。自身が良いと思うことや、2軍で必死にもがく若手選手たちから刺激を受け、試行錯誤を続ける日々。「今まで1軍で投げられていたのは、当たり前じゃなくて幸せなんだなと改めて感じた」。2軍では7試合で防御率0・32と抜群の安定感。実力ではい上がってきた。

この日はバットでも3打席連続で初球犠打に成功。投打で熟練の技が神宮で光った。41歳4カ月での勝利。まだまだ投げられるという気持ちは持ち続けるが「やりたいからやれるような世界ではない」。試行錯誤を続けながら、目の前の1戦での結果にこだわる。【湯本勝大】

○…石川がベテラン勢にエールを送った。2軍生活で若い選手ががむしゃらに取り組む中、練習を重ねる坂口や雄平の姿が印象に残った。結果を残して1軍昇格をしようと励む向上心に刺激を受けて、今季初白星を挙げた。「また1軍で一緒に戦いたいなという思いはある。彼らにとっても勇気づけられる勝利になったらなと思う」と思いやった。

▽ヤクルト高津監督(石川の20年連続勝利に) ずっと昔からやっているスタイルをマイナーチェンジをしながら、今も勝てるピッチングをできる石川はすごいと思った。ピッチャー全員が何か感じるものはあったのかなと思います

▼石川と涌井が交流戦通算25勝目。交流戦の最多勝利は杉内(巨人)の26勝で、25勝は和田(ソフトバンク)に並ぶ2位タイ。