ソフトバンク甲斐拓也捕手(28)が17年以来の1試合2発で打線を勢いづけ、連敗を4で止めた。

苦戦が続く今季の交流戦で、ビジター8試合目にして初勝利だ。甲斐はまず、1点を追う6回2死三塁で、左翼席へ特大の6号逆転2ラン。9回には甲子園の深いバックスクリーンにダメ押しの7号ソロを運び「自分のスイングをすることだけを考えていた」とうなずいた。

交流戦で12球団最多8度の優勝を誇る王者が、今季は波に乗れない。抑えの森、セットアッパーのモイネロが不在という状況もあり、終盤で白星を逃し、悔しい思いもした。正捕手として投手陣をリードする甲斐は「こういった状況が続けば、責任も感じますし、勝つためにやっているので。なんとかしようとしているんですけど、結果的に良くなかった」と苦しんでいた。

この日の朝、母の小百合さんから「頑張りなさい。甲子園でホームラン打ってこい」と、連絡があった。「最近は連絡を取ってなかったのに、こういうタイミングで来た。そういう風に見えてたのかな」。母の気遣いにも感謝し、勝利という返事を送り返した。

甲斐の逆転弾で勢いづいた打線は、7回に相手のミスも絡めて2点を追加。8回には三森や長谷川にも適時打が出て、一挙4点を奪った。終わってみれば11安打。5月1日オリックス戦以来、約1カ月ぶりの2桁10得点でセ・リーグ首位の阪神を圧倒した。

前日は2回2死満塁で投手の石川に打席が回るなど、DH制のないセの本拠地でなかなか打線がかみ合わなかった。工藤監督は「7番にはチャンスに強い人がいた方がいい」と期待を込めて送り出したキーマンが、満点回答でチームを救った。【山本大地】

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▽ソフトバンク三森(途中出場で8回、中前に今季初安打) 三塁走者が(周東)右京さんだったので、前に飛ばせば何とかなると、楽に行くことができた。今季初ヒットが追加点となる1本となってよかった。

▽ソフトバンク尾形(今季初登板で9回を無失点) 去年の初登板(1回2安打3失点)で非常に悔しい思いをしたので、同じ失敗をしないようにと投げました。無失点で抑えることができてよかった。