TDK(秋田)が七十七銀行(宮城)にサヨナラ勝ち。5大会ぶり6度目の優勝で日本選手権(29~7月14日、ほっともっとフィールド神戸・京セラドーム大阪)に駒を進めた。土壇場の9回1死二塁、大卒ルーキー斎田海斗外野手(22=東日本国際大)が右越えにサヨナラ2ラン。昨秋の都市対抗第2次予選に続く2季連続の東北王者に輝いた。

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TDKが1点を争う「我慢比べ」を制し、昨秋の都市対抗に続く2季連続全国出場を決めた。延長突入目前、斎田が劇的な“ウイニングショット”で勝負を決めた。空振り直後、2球目のチェンジアップをフルスイング。打球は右翼に吸い込まれ、仲間たちが待つ本塁ベース上で喜びを爆発させた。先制打の前日6日準決勝に続く決勝打。大会MVP(最優秀選手賞)に輝いた斎田は「自分で決める気でした。勝手に体が反応しました。最初はライトオーバーかなと思いましたが正直、鳥肌が立ちました」と値千金の社会人公式戦初本塁打をかみしめた。

東日本国際大(南東北)では4年間で本塁打王1度、打点、盗塁で各3度のリーグタイトルを獲得するなど走攻守で活躍した。だがプロ一本に絞った昨秋ドラフトで指名はなかった。途方に暮れる中、今春限りで退任した東日本国際大の恩師、仁藤雅之前監督(41)の仲介でTDKに入社。春先から先発起用したTDK佐藤康典監督(51)は「我慢して使い続けてきたかいがあった。パンチ力があり当てる技術もある。ドラフト漏れしたが(プロに)行ける選手は行かせたい。2年後にチャレンジさせたい」と温かく見守っている。斎田も「このチームに入れてよかった。拾ってもらったと思っているので貢献したい。(仁藤前監督の)最後の門下生として送り出してもらったので期待に応えたい」と新旧2人の恩師に感謝している。

投げては社会人2年目の最速154キロ右腕・鈴木大貴(23=流通経大)が6回を4安打1失点。7回から救援した同153キロ右腕・小木田敦也(22=角館)につなげた。鈴木は「チームとしても個人としてもまず1勝したい」と昨秋果たせなかった全国初戦突破を狙う。【佐々木雄高】