今大会で唯一の国立大の和歌山大が九産大と熱戦を演じた。

タイブレークの延長10回、1点を追う1死満塁で柏田樹外野手(3年=和歌山商)が二塁強襲の内野安打を放ち、二塁手のグラブをはじいて白球が転々としている間に2者が生還してサヨナラ勝ちした。

無死一、二塁から始まる攻撃は強攻策で臨んだ。1死になると重盗の奇策に成功し、サヨナラ機を築いたのが勝利に結びついた。大原弘監督(56)は「あれがうちが推奨しているノーサイン野球の真骨頂ですね。選手たちがうまく動いてくれた」と振り返った。この日はサインなし。「1死で彼らが何をするのか、ワクワクしながら見ていた」と振り返った。

1回、三ゴロの間に先制の1点を奪うと、3回には1死一塁で安田圭吾捕手(4年=駒大苫小牧)が浮いた変化球をとらえ、左翼フェンス直撃の適時二塁打を放った。4回には柏田が左翼に本塁打。3点のリードを保ち、中盤まで優位に試合を進めていた。先発瀬古創真投手(4年=水口東)が6回2失点と力投。継投に入った7回に追いつかれたが、粘って踏ん張っていた。前回出場の17年は初戦突破。今年も異例の戦いで劇的勝利を挙げた。