マー君打ったZ! 阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、6回に楽天先発田中将から16号ソロを放った。内角135キロスライダーを捉え右翼席へ5試合ぶりの1発。自身が持つ交流戦の新人最多記録を更新する6本目となった。

「球場に見に来てくれたおじいちゃん、おばあちゃんの前でホームランを打つことができて良かったです。日本を代表する田中投手から打てたことも素直にうれしいです。もっと打てるように頑張ります」

佐藤輝は交流戦12打点とし、19年中川圭太(オリックス)の新人最多に並んだ。

ようやく佐藤輝VS田中将が、実現した。2人はももいろクローバーZのファンを指す「モノノフ」で、佐藤輝は甲子園での登場曲に田中将がヤンキース時代に使用していた「吼えろ」を採用している。日米通算179勝の「本家」との初対決となった一戦へ「球界を代表する投手の1人。そういう投手に自分がどれだけやれるか。自分は自分のことをするだけ。いつも通りと思っています」と意気込んでいた通り、自分のスイングを貫いた。野球人として、「モノノフ」として、記憶に残る1本になったはずだ。

アーチを描きたい理由があった。2日連続で、宮城・村田町に住む父方の祖父勲さんと祖母美智恵さん(ともに82)が観戦。高校まで毎年、盆と年末に帰省し「テル」と呼ばれ、かわいがってもらった。2人に「もっとホームラン、打点とかそういうのも見てもらいたいです」と誓っていた。近大時代の昨年10月にはリーグ記録を更新する14号、阪神入団後は3月27日ヤクルト戦(神宮)のプロ1号をともに生観戦で見届けてくれた祖父母に、また最高の景色を見せた。

左打ちの新人で16本塁打は55年榎本喜八(毎日)84年小早川毅彦(広島)99年福留孝介(中日)に並ぶ。なお、左打ちの新人の最多は46年大下弘(セネタース)の20本で、2位は98年高橋由伸(巨人)の19本。新人全体の最多となると、59年桑田武(大洋)86年清原和博(西武)の31本で、佐藤輝はその折り返し地点まで来た。まだ80試合以上を残しており、記録更新へ期待が膨らむ。

「5番右翼」での起用は5試合目で、その1試合目こそプロ初の4三振でつまずいたが、その後は4試合連続安打で5番では初めての1発。杜(もり)の都でも怪力を見せつけた。【中野椋】

楽天-阪神ライブ速報はこちら―>