<社会人日本選手権:日本新薬3-1三菱自動車倉敷オーシャンズ>◇1回戦◇2日◇ほっともっと神戸

154キロ右腕で今秋ドラフト上位候補の三菱自動車倉敷オーシャンズ・広畑敦也投手(23)が先発し、8回途中3失点だった。

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今秋ドラフトの目玉候補に、NPB12球団スカウトが殺到した。バックネット裏に74人が大挙して集結。投球を映像に収め、スピードガンで球速を測る。それでも最速154キロ右腕の広畑は意に介さない。さらりと「自分の投球をしようと思いました」と受け流した。

雨が降り、マウンドは湿って軟らかい。それも「まったく気になりません」と冷静だ。6回まで2安打無失点。7回に追いつかれたが窮地でリミッターを外した。8回1死一、二塁。剛速球で空振り三振を奪った。DeNAが計測した、この日最速151キロだった。その直後、詰まらせた打球が中前に落ち、決勝の2点適時二塁打を許したが、逸材の片りんを見せつけた。

この日は140キロ前半の速球が多く、快速球は少なかった。速球狙いの間合いを外す意図だ。「走者がいないときは7、8割の力でストライクを取ろうと。真っすぐを狙って振ってくる打者が多かった。真っすぐ狙いの打者はタイミングがずれる」と明かす。剛だけでなく柔の姿も披露した。

巨人は最多の総勢13人がチェックし、榑松スカウト統括は「非常にタフな投手。馬力があります。天候条件が悪いなかで制球力も示した。素晴らしい」と評価した。阪神も和田テクニカル・アドバイザーら10人が目を光らせた。山本スカウトは「途中、真っすぐに力を入れて、スプリットやカットボールもうまく使っていた。上位候補には入ってくる」と話した。初戦で敗退したが、スカウトを引き寄せて、強烈に存在感を示した。【酒井俊作】