阪神藤浪晋太郎投手(27)は無念の降板に奥歯をかみしめた。味方打線が2点ビハインドを追いついた直後の5回裏。是が非でもゼロをともしたい場面で、数センチの違いに泣いた。

2死二、三塁で7番柴田。1ストライクから外角153キロをミートされた。中堅手前にライナーが走る。近本が懸命にダイビングキャッチを試みる。ほんのわずか、グラブが届かない。勝ち越しの2点二塁打を許し、マウンドを下りた。

「立ち上がりに硬さがありましたが、3回以降は落ち着いて投げることができていただけに、追いついてもらった直後に打たれてしまったのは自分の力足らずだと思います」

広報に託したコメントからも、粘りきれなかった悔しさがにじみ出た。

前半戦終盤は救援登板に回り、シーズンが中断した東京五輪期間中に先発調整を再開。再来日したガンケルが1軍ぶっつけ先発を見送ったことで出番が訪れた。4月23日DeNA戦以来、118日ぶりの1軍先発。勝負を懸けたマウンドは立ち上がりから苦しんだ。

1回は1番桑原の右前打、暴投で無死二塁とされ、2番森に右前適時打を献上。わずか5球で先制点を許すと、3番佐野にも右翼線適時二塁打を浴びた。それでも2回1死満塁、4回無死二塁では無失点で耐えていただけに、5回の結末には余計に悔しさが募る。

最速159キロを計測しながら5回途中で102球を要し、8安打3四球4失点で今季3敗目。矢野監督は「いいところはもちろんあるけど、勝たせるところでいうと、内容的にはもうちょっと上げてもらわないと困る」と表現。次回については「ガンケルの状態による」と明言を避けた。

21年開幕投手で白星をもぎ取れず、チームの連勝は4でストップ。まだ2位巨人とは1・5ゲーム差があるが、20日は勝率の関係で再び首位陥落の危機を迎える。勢いを止められた直後の敵地中日戦。虎の反発力が試される。【佐井陽介】

▽阪神福原投手コーチ(先発藤浪について)「立ち上がりがしんどかったが、3回、4回といい感じに投げてくれていたので、あれを初回からできるようになってくればいいと思う。やはりチームを勝たせるような投球をしていってほしい。(2軍戦登板が雨で流れたガンケルの今後は)雨の状況にもよりますが、身体の状態をみて考えていきたい」

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