松井の穴は宋が埋める!楽天宋家豪投手(28)が、オリックス16回戦(楽天生命パーク)で1点リードの9回を無失点で締め、プロ初セーブを記録した。試合前には不動の守護神、松井裕樹投手(25)が右太もも負傷のため登録抹消。抑え不在となったチームの窮地を救った。首位オリックスとの2連戦を負けなしの1勝1分けで終え、2ゲーム差に迫った。

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クリーンアップを3人で切った立ち姿は、風格さえ感じさせた。宋家豪は1点リードの最終回を10球で片付けた。オリックス吉田正と杉本を151キロで立て続けに二ゴロに。ジョーンズの内角を突いた4球目はこの日最速の153キロを計測し、遊ゴロで3時間51分の熱戦に決着をつけた。「サイコーでーす!一生懸命、頑張ります。応援よろしくお願いします!」。流ちょうな日本語で、お立ち台から歓喜を叫んだ。

来日6年目で初めてセーブを刻んだ。「9回のマウンドはいつもと違う雰囲気でした」。開始前、ブルペンの台所事情はピンチに陥っていた。ここまで24セーブを挙げていた絶対的クローザー、松井が前日の練習中に右太ももを痛め、長期離脱が濃厚に。残されたメンバーで大きな穴を埋めなければならない。石井GM兼監督が白羽の矢を立てたのが、今季21ホールドのセットアッパーだった。

宋家豪は前夜も同点の9回を1安打無失点に抑えていた。同GM兼監督は「いまさら信頼とかではない。ずっとシーズン最初から、ここまでしっかりいい投球をしてくれている。信頼だけしかしてないです」と緊張感あふれる場面を託した。味方が序盤から得点し、最大で6点あったリードがじわじわ詰められ1点差。「しびれる展開でもいいボールを投げてくれました」。辛勝が、くしくも“代役”の実力を証明した。

首位オリックスとの直接対決を1勝1分けと負けなしで終え、差は2ゲームに縮まった。休むことなく、1ゲーム差で3位につけるロッテとの3連戦が続く。松井復帰を望めるのはシーズンも終盤。「(優勝へ)挑戦権を得る形をつくって9月に突入したい」と言う指揮官の願いに、宋家豪は「松井選手が戻ってくるまで、与えられたポジションでしっかり頑張ります」と応えていく。【鎌田良美】