DeNA今永昇太投手(27)が魂の激走を見せた。

5回表1死の打席。0ボール2ストライクから、短く持ったバットで148キロの内角高め直球に食らい付いた。詰まった打球は左前へ飛んだ。これを前進してきた左翼手青木が後逸。全力疾走していた今永は二塁を回り、三塁まで走った。

青木からの送球が早く、今永はスライディングしたが、三塁でタッチアウトになった。ヘルメットを取って、悔しがった。

5回裏、今永はマウンドに上がった。太ももから尻にかけ、ベッタリと土がついていた。4回までパーフェクト投球だったが、先頭の村上に初安打を許した。その後、1死満塁から遊ゴロ併殺崩れで1点を許した。

三塁までの激走で、今永の投球ペースが崩れた可能性はある。だが、2死満塁から塩見に遊撃深くへゴロを打たれた際には、大和がダイビングキャッチでピンチを切り抜けた。投手の激走に、ベテランが好守でこたえた形。両者はベンチ前でグラブタッチ。三塁までの激走で生まれた、投手と野手の一体感が垣間見えた。

今永は6回92球、2安打3四死球1失点で降板した。「前回登板から失点した後の1点を防ぐことをテーマに試合へ臨みました。タイムリーではなかったですが、次の1点を防げたことはよかったです。安打と四球が絡んだ失点は後で重くのしかかってくるので、四球を出しても抑えられるようにしたいです」と振り返った。最速は150キロだった。打率はチーム最高の3割5分になった。それでも、駒大時代からのライバル、ヤクルト原樹理との投げ合いに敗れ、今季4敗目を喫した。【斎藤直樹】