阪神が4月から約5カ月守ってきた首位を陥落し、3位まで落ちた。初回に両リーグ最多66個目の失策となるサンズのミスが傷口になり、秋山が鈴木誠と坂倉に連続弾を浴びて3失点。打線も不振の佐藤輝をスタメンから外し、5番糸原、6番大山、7番小野寺の新打線を組んだが、今季ワースト16三振を喫して0行進。2位に最大7差をつけながら、逆転された状況を象徴する惨敗になった。31日の中日戦で1カ月半ぶりに戻る甲子園で巻き返したい。

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大転落だ。阪神が14度目の首位陥落危機で土俵を割った。0-5で迎えた9回2死二、三塁。島内の151キロに代打佐藤輝のバットが空を切った。今季最多の16三振。下位の広島にまさかの3連敗を喫し、一気に3位まで転がり落ちた。敗戦の瞬間に顔をゆがめた矢野監督は、自身に言い聞かせるように前を向いた。

「最終的に一番上にいることが大事だから。こういうことは受け止めてるし、別に今どうやから気持ちが下がって落ち込む必要もない。前向いてやっていくしかない。今までの自分たちの野球をどうやっていくかだと思う」

チームの現状を象徴する幕開けだった。初回。2死から3番小園の打球を一塁サンズが後逸。先発秋山が踏ん張れず、鈴木誠、坂倉に2者連続弾を浴びて3点を失った。昨季から広島戦8連勝だった右腕が味方のミスから流れにのみ込まれ、7回から登板した成長株及川も2失点を喫した。

苦心のオーダーも機能しない。この試合まで24打席無安打の佐藤輝を17試合ぶり4度目のスタメンから外し、昇格させた小野寺を7番右翼で起用。5番に糸原、6番に前日スタメン落ちの大山を据えた。大胆な組み替えを敢行したが、指揮官は「ちゃんと対応できてるのはチカ(近本)だけだった」と厳しい表情。試合が進むにつれ、Kマークが積み上がるだけだった。

一時は2位ヤクルトに最大7差をつけた。巨人には6月18日に最大8差をつけた。だが翌19日から15勝22敗、1分けで借金7。五輪中断前に下降線をたどると、リーグ戦再開で今月13日から始まった夏の長期ロードはBクラス3球団に7勝8敗。低空飛行が続く。4番大山、5番佐藤輝が同時に打撃不振に陥り、打線が分断。投手陣も頼みの西勇が通算100勝を前に足踏み。投打がかみ合わない。

「毎日試合あるのがプロ。自分たちで切り替える努力をしていかなあかんし、他力で変えられるということじゃない。自分たちでどう変えるかということをやっていく必要がある」

久しぶりに「わが家」に帰る。31日からは約1カ月半ぶりの甲子園で中日を迎え撃つ。残り44試合。ズルズルいくわけにはいかない。【桝井聡】