<DeNA8-2巨人>7日◇横浜スタジアム

世話になった“師匠”菅野に投げ勝ち、古巣を倒した。昨季限りで巨人を戦力外となり、今季からDeNAに加入した宮国椋丞投手(29)が巨人16回戦(横浜)で移籍後初登板初先発。17年7月12日ヤクルト戦以来1518日ぶりの勝利投手となった。初回に2失点も粘りの投球。5回に味方打線が一挙7得点で逆転、白星をつかんだ。

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いつも笑顔で、人を思いやる心を持ち続ける男だから、宮国は多くの人から愛され、応援される。支配下登録を決定付けた8月28日のイースタン・リーグの巨人戦。ビジターのジャイアンツ球場だったが、1回裏のマウンドに上がる直前、流れた音楽は巨人時代の登場曲でFIRE BALLの「狼煙~Ready To Go~」だった。

かつての出ばやしは、尊敬する先輩の山口鉄也(現巨人1軍投手コーチ)から継承した特別な曲だった。18年12月、内海(現西武)らと山口の引退式をサプライズで開催。涙にあふれた式の途中、宮国が「山口さんの魂を引き継がせていただけませんか」とお願いし、山口から「もちろん。その気持ちがうれしいよ」と譲り受けた。

あの日、なぜ、あの曲が流れたのか真意は不明だが、見守る古巣の関係者の優しいまなざしが答えだろう。宮国本人が気づいたかも分からないが、耳にしたスタンドのファンは、あの曲を背に投球練習する姿にジンとした。支配下復帰から8日。横浜スタジアムのマウンドで再起の“のろし”を上げた。【久保賢吾】