日本ハムのルーキー今川優馬外野手(24)が、ソフトバンク戦(札幌ドーム)で特大のプロ1号を放った。

2回1死二塁から、左翼席上段への2ラン。通算13打席目で放ったプロ初安打が、決勝弾となった。11日ソフトバンク戦で負傷した近藤健介外野手(28)の代役として、急きょ昇格を果たした若武者が、即スタメン起用の期待に応えた。

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会心の当たりだった。2回1死二塁。今川は内角低め141キロ直球を捉えると、打球はきれいな放物線を描き左翼席上段へ届いた。「今までで1番完璧な当たり」。プロ入り通算13打席目での初安打が、先制&決勝弾。家族が見守る中、打った瞬間、右拳を握った。

前回の苦い経験を生かした。4月に1軍初昇格も11打数無安打で2軍落ち。「受け身になっていて、自分の長所である思い切りの良さが出ていなかった」。この日は、1球目からフルスイングで結果を出した。

札幌出身で小学5年から日本ハムのファンクラブに入会。選手となった今年も現役会員で、すでに16年目となる来年の更新も済ませたと言う。「鎌ケ谷の寮のポストに継続案内が届いていたので。ファイターズが好きなのでそれに尽きます」と球団愛たっぷり。初めてのヒーローインタビューでは「なまら最高です」と声を張り上げ、喜んだ。

「野球は物理のスポーツ」が身上だ。「小さいころから身体が小さく、周りの大きい子たちには到底パワーじゃ勝てないと思っていた」。憧れているメジャー通算500発のミゲル・カブレラ(タイガース)を参考に、バットの回転半径など、技術につながるデータを事細かに研究。「僕は周りの人より下手くそだと思うので、頭を使わないと生き残っていけない」。弱点を理論でカバーし、2軍でチーム2位の14本塁打。1軍再昇格へつなげた。

前日の試合で主軸の近藤が負傷離脱し、転がり込んだチャンスだった。「巡ってきたチャンスを執念で何としてもつかみ取りたい一心だった」と、気迫の一打で起用に応えた。栗山監督も「本当にいいものだった」と大感激だ。

チームとしては4日西武戦の木村以来7試合ぶりとなる本塁打。得点力不足に泣いてきたチームの救世主として期待される24歳は「野球人生でみたら小さな1本かもしれないけど、またチャンスをもらえたら積み重ねていきたい」と力強く話した。【小林憲治】

 

<今川優馬(いまがわ・ゆうま)アラカルト>

◆出身 1997年(平9)1月25日、札幌市生まれ。

◆サイズ 177センチ、87キロ。右投げ右打ち。

◆経歴 北海道・東海大四(現東海大札幌)では高3夏に甲子園出場。2回戦の山形中央戦で石川直也(現日本ハム)から安打を放った。東海大北海道を経て、20年ドラフト6位でJFE東日本から日本ハム入り。

◆大家族 両親と弟4人、妹1人。背番号「61」には「『6』人弟妹の『長(1)』男」の意味が、あるとかないとか。

◆ハム党 日本ハムのファンクラブ会員歴15年目。来季、16年目もすでに更新した。