広島の守護神栗林良吏投手(25)が、勝負の10連戦をフル回転で「永川超え」に挑む。チームは17日DeNA戦(マツダスタジアム)から長期連戦に突入する。栗林は永川勝浩1軍投手コーチ(40)が持つ球団新人最多の25セーブに王手をかけ、記録更新が目前だ。チームにとっても上位浮上のラストチャンスともいえる10連戦。快挙達成で、チームを勢いづける。

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鯉の黄金ルーキーが、また1つ球団史に名を刻む日が迫ってきた。栗林は中10日で登板した15日の中日戦で、2点リードの9回に登板。1回を「3人斬り」で24セーブ目を挙げた。永川コーチが03年から長年保持してきた球団新人最多の25セーブに王手をかけた右腕は「あと1ですよね。そこを超せたら一番いいこと。次のセーブは『25』という節目の数字。出番があれば、しっかりやっていきたい」と闘志を燃やした。

「25」はプロ入り前から目標に掲げていた1つだった。節目の到達が目前となり、最近永川コーチとも話題になったという。栗林は「『どうせ抜かすでしょ』みたいなことは言っていましたけど(笑い)。そこは抜かしたい数字だなと思っています」と力を込めた。

セーブシチュエーションの登板では、まだ1度も失敗をしていない。栗林は「自分の中では勝ちたいっていう気持ちが一番強いので。(セーブ機会は)特に僅差の試合ってことなので、気持ちも入ります。残りの試合も勝ちで回ってきたら、しっかり勝ちで終われるように」と気合。永川コーチでも成し遂げられなかったセーブ機会失敗ゼロでの快挙達成に挑戦する。

鉄壁を誇る右腕は、数々の金字塔を打ち立ててきた。プロ初登板初セーブから22試合連続で無失点を継続し、2リーグ制後の新人のデビューからの連続無失点記録を樹立したと同時に、開幕からの連続無失点の球団記録も更新した。東京五輪では、侍ジャパンの守護神として2勝3セーブと大車輪の活躍をみせ、金メダル獲得に大きく貢献。現在7試合連続セーブ中で、DeNA山崎が15年に記録した新人の連続試合セーブのプロ野球記録「9」にもあと2試合に迫っている。

チームは最下位に甘んじている中で、17日から勝負の10連戦を迎える。Aクラス入りへのラストチャンスともいえる長期連戦だ。後半戦28試合で6試合の登板にとどまる右腕。パワー全開で連戦に挑み、球団最多セーブを更新することで、チームも活気づく。【古財稜明】