阪神佐藤輝明内野手(22)が、引退を表明した近大の先輩俊介からの“贈る言葉”を胸に、マルチ安打で首位奪回に貢献した。ウエスタン・リーグのソフトバンク(甲子園)に「4番三塁」で出場。1点ビハインドの4回無死で左腕川原の直球に詰まりながらも一、二塁間を破り、11打席ぶりの安打をマークした。三塁に進むと、栄枝の逆転タイムリーで生還。8回にも右腕の泉から右前に安打を放ち、1、2軍含めて1カ月ぶりの2安打で、俊介への感謝を示した。

11学年上の先輩は、いつも激励してくれる心強い存在だった。「よく声をかけてくださるので本当にありがたい」。降格後は一緒に鳴尾浜で汗を流してきた。そんな背番号68の引退表明を受け止め、「『しっかり頑張れよ』と言っていただいたので、その期待に応えられるように頑張っていきたい」と、惜別の思いをバットに乗せた。

打撃練習時は井上ヘッドコーチが視察訪れ、構えのトップ位置やタイミングのとり方について助言を受けた。「懐をしっかり広く持てと言っていただいた。いつも気にかけてもらっているので、早く(恩を)返せるように」と引き締めた。チームは前日15日に連勝が「18」でストップして首位をソフトバンクに譲ったが、わずか1日での奪還に貢献。近大魂を受け継ぎ、1日も早い完全復活を目指す。【前山慎治】