準備OKだ。2軍調整中の阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、プロ初の4安打で1軍昇格へ猛烈なデモをかました。ウエスタン・リーグ中日戦(ナゴヤ)に「4番右翼」で先発し、3打席連続適時打など5打数4安打3打点と打ちまくった。1軍再登録が可能となる20日を翌日に控え、復活の予感を高めた。その1軍は甲子園で巨人に大敗し、2位ヤクルトが1・5ゲーム差に接近。起爆剤としてルーキーの1軍復帰はあるのか? 首脳陣の判断が注目される。

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復活の気配がプンプン漂う。デーゲームを終えた佐藤輝は「まずは結果が出て、いい場面で打てたのでよかったと思います」と安堵(あんど)し、続けた。

「いつでも上に呼ばれたらいける準備してるんで、しっかり準備したい」

そう言えるだけの1日だった。初回1死二塁。中日ドラフト1位高橋宏の147キロ直球に詰まりながら、中前適時打を放った。バットを割りながら2試合連続安打とし「折りながらでしたけどよかったかなと思います」とうなずいた。

3回2死二塁では、再び高橋宏から左中間への適時二塁打。5回無死一、三塁の第3打席は左腕橋本の146キロを打ち返し、一、二塁間を破って3打席連続タイムリーとした。9回の第5打席は、変則右腕丸山から中堅右奥への二塁打。「風に押し戻されましたけど、いい当たりだった」。2本の長打に手応えを得た。

2軍降格後も16打数3安打とエンジンがかかり切らず、雨で2試合流れて迎えた一戦。気持ちをリフレッシュさせ、前日18日にはフリー打撃で104スイング後、おかわりして「置きティー」で打ち込んだ。効果てきめん、1、2軍通じてプロ初の4安打。平田2軍監督は「自分のイメージを取り戻しつつある。打球も上がって、もうノッテルよ」と太鼓判を押した。

2軍戦から約6時間後、1軍は今季レギュラーシーズンでは最後となる甲子園での「伝統の一戦」で大敗した。巨人菅野に7回1失点に封じられ、直近3試合で2得点と打線は低調気味。見逃し三振で最後の打者となったサンズは11日広島戦で2安打した後、4試合13打席無安打と調子を下げている。覚醒しつつある背番号8は、打線の起爆剤にうってつけの存在だ。

最短での1軍再登録は20日から可能。その判断について井上ヘッドコーチは「いいものを見せてくれて2軍監督の推薦があってから考える」と話しており、打点を挙げ、左投手を打ち、長打も出たこの日の4安打なら十分に値しそうだ。

「しっかり自分のやることをやって、その場所でやっていきたいと思います」

佐藤輝はただひたすらに、前を向いて戦うだけ。優勝戦線の秋。Vの使者となる準備は整っている。【中野椋】