ヤクルトのホセ・オスナ内野手(28)が好走塁で神宮を沸かせた。2回1死二塁。サンタナの平凡な中飛で、二塁からタッチアップを成功させて三塁へ進んだ。スタンドにはどよめきが起きた。

抜群のタイミングで仕掛けた。オスナは打球を見て、すぐにタッチアップの構えに入った。広島の中堅、西川の定位置への飛球。右足を二塁ベースへ付け、腰を落として打球の行方を見守った。捕球を確認しても、じっと待った。西川が視線を向けてきても姿勢を変えずに、まだ我慢。走らない-、と思わせた次の瞬間、スタートした。

オスナが待っていたのは、西川が送球動作へ移るタイミングだった。カットマンの遊撃・小園へ送球しようと右腕を引いた瞬間に、スタートを切った。やや緩い送球が小園へ渡った時には、トップスピードで二、三塁の中間点を越えていた。小園も慌てて三塁へ送球したが余裕のセーフ。相手のわずかな隙を突く、完璧な“ディレードタッチアップ”だった。

得点にはつながらなかったが、インパクトの大きいプレーだった。優勝を争う阪神、巨人にも今後、大きなプレッシャーを与える可能性を秘めるプレーだった。【木下大輔】