阪神が執念勝ちで首位を死守した。中日守護神のR・マルティネスが登場し、良くて引き分けかと思われた同点の9回。先頭の島田がヒットと二盗でチャンスメーク。不振のサンズがチーム打撃に徹した“大根切り”の一ゴロで三塁に進めると、約1カ月ぶりスタメンの木浪が勝ち越し犠飛を打ち上げた。

2位ヤクルトが勝ち、負ければ首位陥落の危機だった崖っぷちで、みんなが一丸になり、泥臭く大きな1勝をつかんだ。

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これぞ「全員野球」だ。阪神が難攻不落の守護神、R・マルティネスから1点をもぎ取った。同点の9回1死三塁。木浪が左翼へ勝ち越し犠飛。「絶対にここで打つ」と152キロ直球に食らいついた。「今日は自分が(試合前の)声出しで『全員野球』と言ったんですけど、その野球ができたと思います」。優勝への執念を体現した、言霊(ことだま)の一丸攻撃だった。

チャンスメークは途中出場の先頭島田だ。「もう、何でもいいから(塁に)出て」。149キロ直球に食らいつき、二塁へ内野安打。続くサンズの2球目に二盗を決めて無死二塁をつくると、もう押せ押せだ。島田は「持ち味なので、最大限に生かし切れたかな」としてやったり。矢野監督も「いや、見事やったね。俺もファームで(2軍監督で)一緒にやったけど、積み重ねてきたものを、一発で出せたのは成長」と絶賛するビッグプレーになった。

続くサンズも不振だったが粘りに粘った。8球目の内角高めボール球を“大根切り”するような右打ち。一ゴロで17打席ノーヒットとなったが、チーム打撃に徹する進塁打で1死三塁をつくった。矢野監督は「何とかしようと三塁に進めてくれて。みんなの気持ちもつながった」と絶賛。木浪の決勝犠飛を呼び込んだ。

木浪は約1カ月ぶりのスタメンだった。今季2度の対戦で17回を0封された先発柳対策で、ひとり2安打を放った相性を買われた。だがこの日は3打席凡退。矢野監督は「代打もよぎった」という。ベンチには、まだ大山も糸井も原口も残っていた。だが、最後まで、自分にかけてくれた思いを背番号0も感じていた。「結果を残せて、恩返しができました」。指揮官も「聖也(木浪)もよくかえしてくれた。ほんとに1人1人が気持ちをつなげながら取った1点」とたたえた。

貧打打開へ、不調の大山を15試合ぶりにスタメンから外した。4番から助っ人トリオを並べる苦肉オーダーで、三塁糸原、二塁木浪の新布陣を組んだ。2位ヤクルトが勝ったため、負ければ陥落した試合で首位を死守。矢野監督は「4番以降がね。ちょっと我慢かな。まあ我慢の中で拾えた」と笑顔でプラスに受け止めた。V争いの佳境、この1勝はデカイ。【石橋隆雄】

▼阪神は21日に首位を守ったが、22日に阪神●でヤクルト○のとき、2位に陥落する状況は変わらない。阪神は63勝48敗5分けで勝率5割6分8厘、ヤクルトは56勝42敗15分けで5割7分1厘。この場合、ヤクルトは2位阪神にマイナス0・5ゲーム差の首位となる。

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