楽天が9回に追いつき、今季14度目の引き分けに持ち込んだ。2位オリックスとの3連戦を1勝1敗1分けとし、2・5ゲーム差を維持した。

リスクを冒してでも、勝ちたかった。楽天田中将大投手(32)が“勝負の1球”に宝刀を選んだ。0-0の7回2死。モヤに対し、カウント2-2からの6球目。足元への142キロスライダーで三振を誘ったが、白球は捕手炭谷銀仁朗(34)のブロッキングをよそにバックネットへ。自己最多、8年ぶり2度目の1試合3暴投目で先制を許した。

「ここに関してはどう答えたらいいか分からない。こっちはこっちで投げきらなあかんし、意図した球ではあった。投げきれたので、結果に対して悔いはないです」。

中5日で7回4安打1失点。自身6戦勝利なしとなったが、課題の制球面の修正へこの日はプレートの踏み位置を三塁側から一塁側にし、投球時に左足をわずかに止めたり、小さく2度上げるなど試行錯誤した。「マウンドで少し修正を加えたことで安定した」と手応えを示した。

13年、球団初のリーグ優勝を決め、胴上げ投手となってからこの日で丸8年。今季8度目のハイクオリティースタート(7回以上自責2以下)を達成し、石井一久GM兼監督(48)も「“勝てる可能性がある投球”よりワンランク上の“勝つ投球”をしてくれた」と舌を巻いた。チームは9回に追いつき引き分け。右腕の思いは確実に、チームメートへ伝わっている。【桑原幹久】