阪神が4番大山悠輔内野手(26)を軸に、0ゲーム差でしのぎを削る首位ヤクルトとのデッドヒートを制す。状態を上げた大山が4番復帰した巨人3連戦は2勝1分け。3番マルテら前半の首位快走をけん引した原点回帰打線で、逆転Vを目指す方針だ。28日の広島戦から下位3球団と対戦し、10月8日からはヤクルトと天王山の3連戦。矢野監督は「打線で勝つ試合をつくっていかないと」と気合十分で村上、山田らに負けない猛虎打線をよみがえらせる。

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目指す16年ぶりのリーグ優勝へ、阪神打線の最終形が固まった。4番は大山でいく。井上ヘッドコーチが「残り試合は4番として頑張ってほしい」と固定の方針を明かした。

井上ヘッド 開幕から(チームの)調子がよかったころは、悠輔が4番を打っていた。元サヤに戻るじゃないけど、そういう形の方が、ジェフリー(マルテ)が生きるとか。輝(佐藤)が生きて、サンズがまた息を吹き返してってなった時にはこっちのものだから。

4番に戻した週末の巨人3連戦は勝負どころで打点を挙げ、チームの2勝1分けに貢献した。中でも3戦目、左翼席後方のキリンビール「一番搾り」の看板に直撃させた143メートル弾はこれぞ4番の1発。矢野監督も「ホームランがきっかけになるかも」と一層期待を高めた超特大弾だった。

9月の大山は打率3割1分、3本塁打、12打点と復調。4番に戻れば1番近本、2番中野、3番マルテと好調な打線が組め、さらにサンズや佐藤輝らも本来の位置で状態を戻せる期待が膨らむ。前半の快進撃を引っ張り、相乗効果が見込める原点回帰オーダーで、ヤクルトとの熾烈(しれつ)なV争いを制す。大山も「本当に1試合1試合が大事になってくる。チーム一丸となって、何としても勝てるように」と腕ぶした。

チームの9月は打線が低調で投手陣におんぶに抱っこ状態。矢野監督は「打線で勝つ試合をつくっていかないと、なかなか頭ひとつ抜け出すことはできない」と引き締める。だが、50打席無安打の佐藤輝についても「何でも追っかけていないのはいいところ。底は抜けている」と復調気配を感じている。「まずは1本。あいつの形でしっかり打ったものが出てくると何かきっかけになり得る」。4番大山効果で佐藤輝にも当たりが出れば、鬼に金棒だ。

28日からは広島、中日、DeNAと、下位3球団との9試合が予定される。そして10月8日からは、神宮でヤクルトと天王山の3連戦だ。村上や山田ら強力打線に打ち負けないためにも、下位3球団との対戦でもっと打線を活性化させたい。まずは広島戦から始まる甲子園6連戦で、4番大山が引っ張る猛虎打線に、乞うご期待だ。【石橋隆雄】

 

 

▼阪神は最短30日にも自力優勝が消滅する。ヤクルトが28日からのDeNA3連戦に3連勝なら、阪神は広島3連戦に2敗1分け以下で、ヤクルトが2勝1分けの場合は阪神が3連敗すると自力優勝が消滅する。阪神が残り試合を全勝しても、ヤクルトが阪神との直接対決5試合に全敗し、それ以外を全勝すれば最終勝率で上回るため。ヤクルトは30日に優勝マジックが点灯する可能性がある。