復調へ、値千金の一打を放った。2年連続都市対抗出場を狙うTDK(にかほ市)が、七十七銀行(仙台市)に6-4で逆転勝ちし、9日の第1代表決定戦に駒を進めた。「3番DH」の青木龍成外野手(25=東日本国際大)が今大会初安打となる勝ち越し適時打を放ち、試合を決めた。

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青木が中軸の意地を見せた。同点で迎えた7回2死満塁。カウント1-2からの5球目、低めの変化球に反応した。「甘いボールが来たら打つという感じだった。強く振ろうという意識を持っていた中でヒットが出てうれしかった」。打球は一、二塁間を破る勝ち越しの右前適時打。見守った選手もベンチ前に飛び出し、一塁上で右腕を突き上げた。さらに後続が適時打を放ち追加点。その後は継投策で逃げ切った。

指揮官の期待に応えたかった。今大会初戦の日本製紙石巻(石巻市)戦は4打数無安打。この日も2打数無安打で臨んだ好機だった。佐藤康徳監督(51)は「ここ最近あまり良くない中でも、打撃はチームの中ではトップレベル。ここぞという時にやってくれると思って」と、起用理由を説明した。今大会初めて「Hランプ」をともした青木は「チームにとっても自分にとっても大きい1本になった」と決勝打を喜んだ。

今年は後輩と同期から力をもらった。母校の日大山形は今夏の甲子園16強。そして、中学、高校時代にともにプレーした同学年の阪神中野拓夢内野手(25)は主力として活躍中だ。青木は「(中野は)自分の野球人生に刺激を与えてくれる良い親友。都市対抗出場を決めて良い報告ができるように頑張れたら」と意気込んだ。第1代表決定戦はJR東日本東北(仙台市)と激突する。「ここぞという場面で1本出して、チームを全国に導けたら」。復調のきっかけをつかんだバットマンが、大事な一戦で再び快音を響かせる。【相沢孔志】