広島が13安打7得点で巨人を圧倒し、連勝を4に伸ばした。4番鈴木誠也外野手(27)と5番坂倉将吾捕手(23)が、2人で4安打4打点と打線をけん引した。そろってマルチ安打で打率を上げ、セ・リーグの打率1、2位を独占。チーム内での首位打者争いが白熱すれば、打線も活性化間違いなしだ。カープ勢による「1、2フィニッシュ」達成となれば04年の1位嶋、2位ラロッカ以来2度目となる。

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2人のバットマンが、試合の主導権を引き寄せた。1回2死一塁。4番鈴木誠は巨人戸郷の3ボールからの4球目、スライダーを引っ張った。三塁線を力強く破る先制の適時二塁打でスタンドのボルテージを上げると、5番坂倉も続いた。フルカウントから3球ファウルで粘り、外角低めに落ちる9球目に体勢を崩されながらも中前にはじき返した。

先発復帰後初のマルチ安打の鈴木誠は「結果として今日はたまたま良かったですけど、状態的にはいいわけではない」と満足感はない。この日の試合前練習でも、何か試しながらスイング。首をひねる姿も見られた。ただ、試合に出れば言い訳はできない。自分の結果は、チーム、そして前後の打者に与える影響が大きい。それが4番だ。「僕もしっかりやらないと。僕も(3、4番として現巨人の)丸さんを見てきたし、あいつ1人で背負わせるわけにはいかない」。坂倉を思い、主砲の責任感を口にする。ダメ押し点を奪った7回は、1死二塁から左前打で坂倉の2点打をお膳立てした。

一時打率3割を切った坂倉は12試合連続安打で、3割1分7厘で先輩を追う。10月はすでに7打点と、鈴木誠の6打点を上回る働き。同じ関東出身でプロ1年目から助言をくれる兄貴分との打率争いには「まずは自分のやれることをやりたいなと思います。ランキングはもういいかな」と笑う。タイトルよりも、中軸だけが背負う重圧と使命に立ち向かっていくことこそ野球人生の財産となる。

中軸2人が4安打4打点と打線を引っ張り、4連勝。佐々岡監督は「個人、個人の役割というか。4番がどかんと座って、5番につなぐという、理想の形になっている」とたたえた。セ界の首位打者争いをリードする2人が、広島打線もリードしていく。【前原淳】

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