これが奥の手のスクランブル方程式や! 2位阪神が1点を勝ち越した直後の7回からセットアッパー岩崎、8回途中からスアレスを投入。ともに今季初めての「ダブル回またぎ」で終盤3回を2人で逃げ切った。首位ヤクルトの連勝を7で止め、矢野監督は監督通算200勝となった。2軍は9回の逆転劇でファーム日本一。1軍も逆転優勝を諦めず、2ゲーム差のツバメの尻尾を追い続ける。

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崖っぷちで踏ん張った。1点リードの9回2死満塁。守護神スアレスが初球159キロの内角球で4番村上を詰まらせた。投前に転がったゴロを大事にキャッチして一塁送球アウト。3時間39分の激闘を決着させた。川端、塩見のヒットから途中出場の遊撃山本が青木の打球をファンブル。すべての塁が埋まった絶体絶命のピンチから脱出した。最後はしびれる場面だった…。そんな質問に矢野監督はツッコミを入れた。

「ずっとしびれてるよ! もう任せるしかないんで。それが信頼関係。今までやってきているんで、すべて受け入れるという気持ちで送り出している」

激しくタクトを振るった。1点を勝ち越した7回。断を下した。「8回の男」岩崎を7回のマウンドに送り込んだ。青木、村上と怖い左打者が打席に立つイニングで頼れる左腕を前倒し登板。7日DeNA戦で温存し、前日8日ヤクルト戦で登板機会がなかったセットアッパーは、注文通りに青木を一ゴロ。続く山田、村上を2者連続の空振り三振に仕留めた。指揮官は8回にためらいはなかった。

「スクランブルであの3回を2人でどういくかということを考えていた。優(岩崎)もピシャといってくれたんで、いい流れでバトンを渡してくれた」

岩崎を続投をさせ、先頭オスナを二ゴロに仕留めると、イニング途中のここで守護神スアレスにスイッチ。終盤の3イニングを絶対的な2人で抑え込んだ。岩崎は55試合目、スアレスは56試合目でともに初めてイニングをまたぐ「ダブル回またぎ」。絶対に負けられない一戦でリミッターを解除。奥の手とも言える決死リレーでつないだ。

約6時間前には神宮から遠く離れた宮崎で2軍がファーム日本選手権に臨み、ロッテを下した。若虎が終盤に見せた逆転劇に矢野監督も熱くなった。

「9回に諦めずに、もちろん全員でやれた野球。そういう気持ちは1軍だから、2軍だからじゃない。タイガースとして大事にしてきたところ」

前日8日には自力優勝の可能性が消滅。これで首位ヤクルトと2ゲーム差に縮まったが、逆転優勝が険しいことに変わりはない。もがいて歯を食いしばって勝利をつかむしか、道は開けない。最後の最後まで諦めない。矢野虎の明日なき戦いが続く。【桝井聡】

▼阪神岩崎 絶対に勝たないといけないんで。そういう気持ちでした。ゼロで良かったです。やっぱりしっかり目の前の試合を取れるように、貢献できるように、いい投球できるように。それだけじゃないですか。

▼阪神スアレス セーブも取れて良かったし、チームもいい状態でつないでくれたので、自信を持って投げるだけだったよ。しっかり明日の準備をするために、今日しっかり休んで、明日どこでも行ける準備をしたいなと思うよ。

▼阪神坂本 昨日やられて、やられっぱなしでは、全然まだ何も終わったわけではない。ピッチャーにもすごい大変というか、きついことも要求したんですけど、みんな応えてくれて最後、いい形になって良かったなと思います。