天理(奈良)の達孝太投手は日本ハムにドラフト1位で指名された。

奈良・天理市の校内会見場で指名を待った達は、名前が呼ばれた瞬間、マスク越しに顔をほころばせた。

「正直1位で指名していただけると思っていなかったので、正直びっくりしています。(1位指名は)両親に報告したいと思います。とりあえず、ありがとうと言いたいです」と会場内で指名を待った両親にうれしい報告。「ダルビッシュさんはじめ多くのいい投手が育つ球団だと思っている。しっかり自分のやるべきことをやって、ダルビッシュさんのあとを追いかけていけたらと思います。ダルビッシュさんとマックス・シャーザーとトレバー・バウアーを足して3で割った投手になりたいなと思います」と大きな夢を語った。

長身の193センチで85キロ。その恵まれた肉体と最速148キロの球筋を見れば、潜在能力の高さは今秋ドラフトで屈指だろう。夏の奈良大会は準決勝で高田商にサヨナラ負け。敗戦後、前を向いて語った。

「2年半の高校野球が終わった。でも、ここで止まってもダメ。自分のなかで本当の勝負はこれから」

3月のセンバツで勇名をとどろかせた。チームを4強に導いた一方で、左脇腹を負傷。その後も右肘の違和感があり、別メニュー期間も長かった。万全の状態で夏本番に合わせられなかったが、素材の高さはプロに高く買われていた。

達には夢がある。中学校の卒業文集には「僕は将来メジャーリーガーになり、日本を代表する投手になります。まず、高校卒業後ドラフト1位になり5~7年間日本でプレーをし、23才~25才くらいでアメリカの球団と5年100億円の大型契約をして…」と大志をつづった。明確な人生設計を描き、こう続ける。

「これが僕の人生の予定ですが、本当になれる気しかしないです」。

目標があるから、ひたむきになれる。あるとき、投球動作分析「motus」(モータス)で振り下ろす右肘の角度を測ったときだ。肘への負荷も算出され、関係者に言われたという。「165キロ投げる投手と同じ負荷がかかっている。165キロ投げるポテンシャルがあるよ」。自信になったひと言だ。球の回転数はプロでトップ級の2500回転もマークした。まだ発展途上だが、人生の後押しになるデータが達を勇気づける。

193センチ右腕は理想がある。「ダルビッシュさんとトレバー・バウアー、マックス・シャーザー。3人を足して3で割った投手になりたい」。日本の一流投手とサイヤング賞右腕2人の「いいとこ取り」だ。センバツでは好投しても「0点です」と自らに手厳しかった。「将来はメジャーリーガーになりたい」と公言する。未来を思い描くからこそ、スキを見せず、プロの大海原へと飛び出す。【酒井俊作】

大阪・堺市出身、193センチ、85キロ。右投げ右打ち。