JR東日本の153キロ左腕、山田龍聖投手(21=高岡商)は巨人の2位指名を知らないまま、都市対抗野球の出場権を得る決定戦の真っ最中だった。

東京都2次予選の第3代表決定戦(神宮)は、午後5時59分にプレーボールがかかった。山田は第1代表、第2代表決定戦でともに先発したが、結果を出せず、この日はリリーフ要員として、ブルペンで待機した。

巨人の2位指名があったのは午後6時5分。そこから45分後、チームが0-2と先行を許す展開で山田は投球練習を開始した。

「入社3年目でプロ入りすることが目標です」。かつてこう話した。高校3年夏に甲子園に出場、3回戦で根尾(中日)、藤原(ロッテ)のいた大阪桐蔭と対戦し、1-3で敗れた。JR東日本では太田龍(巨人)伊藤将(阪神)の存在があり、出番は限られた。そんな先輩がプロ入りして迎えた今年、一気に評価を高めた。

「伊藤さんのようにチームを勝たせられる投手になりたい」。自分の目標が現実になったこの日、ドラフトと同時進行となった試合にどうしても勝ちたかった。