静岡大が2014年春以来、15季ぶり(20年春はコロナ禍で中止)4度目の優勝を飾った。先発の石田雄大(ゆうた、4年)が、5回4安打無失点と好投。最後は井手駿(はやお、4年)が投手4人のリレーを完封で締めた。投手2枚看板を軸に、常葉大浜松に11-0で快勝。開幕から6戦全勝で頂点に立った。静岡大は、23~24日の東海地区秋季選手権(三重県伊勢市)に出場する。また、ベストナイン、個人賞も発表された。

マウンドに静岡大ナインの歓喜の輪が広がった。試合中の雨はやみ、「その時」を待っていたかのように一瞬、西日が差した。静岡県学生リーグで初となる選手、コーチ、指揮官として頂点に立ったOBの高山慎弘監督(40)は「変則的な日程の中、選手はモチベーションを保ってやってくれた」。15季ぶりの栄冠をつかんだ教え子をたたえた。

最終戦も、ダブルエースが躍動した。先発の石田が5回4安打無失点。8奪三振の力投で流れをつくった。同学年の豊田聖理(ひじり)、永井康平も無失点でつなぐと、11点リードの7回2死から井手が登板。最後の打者を空振り三振で切り、4年生4人の完封リレーで優勝に花を添えた。

最優秀投手にも輝いた井手は「今日、勝つことに集中して準備してきた。最後のシーズンで優勝できて良かった」。最優秀防御率を獲得した石田も「4年かかったけど、1番の目標だった優勝を達成できてうれしい」と実感を込めた。両右腕は、11日のプロ野球ドラフト会議で指名漏れ。悔しさを白球に乗せた。

今年7月。チームはデータ解析を専門とする「ネクストベース」と契約。相手の情報を緻密に収集した。石田は「数値化されたデータは強い根拠になる。情報を参考に勝負できる。武器の引き出しが増えた」。精度が高まった分析力も大きな後押しとなった。

23日開幕の東海大会と、その後の東海、北陸、愛知3連盟王座決定戦で優勝を続ければ、来月の明治神宮大会出場が決まる。井手は「1戦1戦勝って神宮に行きたい」と、チームの思いを代弁した。新たな目標へと突き進む。【前田和哉】