東農大北海道(北海道学生)が東海大北海道(札幌学生)を3-0で下し、7年ぶり3度目の神宮切符を手にした。1勝1敗で並んだ2戦先勝方式の第3戦で、先発した伊藤茉央投手(3年=喜多方)が被安打5の11奪三振で完封。19年の代表決定戦で敗れた相手に雪辱を果たし、代表の座をつかんだ。明治神宮大会は11月20日に開幕する。

3点リードで迎えた9回2死。東農大北海道の伊藤茉は古間木大登捕手(4年=遠軽)が出したスライダーのサインに首を振った。フルカウントの場面で選択したのは内角直球。渾身(こんしん)の球で空振り三振を奪うと、両手を突き上げ、駆け寄るチームメートたちの輪の中心になった。11奪三振の完封に「今日はやるしかないという気持ちだった。出来すぎです」と照れた。

勝利チームが代表をつかむ最終戦。3回に4番金子隼人一塁手(2年=帝京八王子)の適時打などで援護を受けた伊藤茉は、3連投の疲れを全く感じさせなかった。5安打に抑え、133球の熱投。「外だけじゃなくて、内角もうまく使って投げられたのがいい形になった」と振り返った。今回の3試合、計16回2/3で1失点と投手陣の中心となった。

2年前の悔しさを晴らした。この日と同じように東海大北海道と神宮をかけた代表決定戦で1勝1敗と並んでいた。当時1年生だった伊藤茉はリリーフ登板し、3-3の延長10回に決勝打を打たれていた。「あの悔しさはここで返したい。2年前の借りを返すしかないという強い気持ちで臨んだ」と、言葉通りの強気な投球で勝利を引き寄せた。

18年就任の三垣勝巳監督(41)は初の神宮大会出場を決め「道6(北海道6大学リーグ)代表として恥じない戦いをと思っていた。代表になれて非常にうれしい」と目を潤ませた。6月の全日本大学選手権では8強止まり。古間木は「リベンジを」と話し、伊藤茉は「全日本の時より成長した姿を見せられれば。目標は日本一」と、過去最高の14年4強超えを掲げていた。【山崎純一】

 

<明治神宮大会北海道地区代表決定戦の結果>

第1戦 東農大北海道○2-0●東海大北海道

第2戦 東農大北海道●3-4○東海大北海道

第3戦 東農大北海道○3-0●東海大北海道

 

◆東農大北海道の明治神宮大会成績 過去2度出場。初出場の10年は1回戦で九産大に3-4で敗退。14年は1回戦で京産大に3-0、2回戦で上武大に3-2でベスト4に進出。準決勝で駒大に0-3で敗れた。全日本大学選手権には今年、2大会連続17回目の出場を果たした。19年の4強が最高成績。

◆明治神宮野球大会 昨年はコロナ禍で中止されたが、今年で52回目を迎え、11月20~25日まで東京・神宮で行われる。全国の秋季大会優勝チームなど大学の部は11校、高校の部は10校が参加し、トーナメント方式で秋の日本一を決定する。北海道から今年の高校の部には秋季全道大会優勝のクラークが出場し、組み合わせ抽選は今月23日に行われる。北海道勢の最高成績は、大学の部は17年星槎道都大の準優勝。高校の部は05年駒大苫小牧、18年札幌大谷が優勝している。

◆表彰選手 ▽最優秀選手賞 伊藤茉央投手(東農大北海道3年)▽優秀選手賞 金子隼人内野手(東農大北海道2年)▽敢闘賞 中野直哉捕手(東海大北海道4年)