さらば平成の怪物、ありがとう松坂。西武松坂大輔投手(41)が引退試合に臨み、最後は四球を与えて終わった。日本ハム戦に慣れ親しんだ背番号「18」で先発。横浜高の後輩・近藤に5球投じ、最速は118キロだった。右手のしびれと闘いながら懸命に腕を振り、マウンド上からファンに最後の雄姿を披露。試合前に行われた引退会見では涙も見せた。99年から始まりプロ23年間で日米通算170勝。後半はケガに苦しめられ、栄光と挫折、頂点とどん底を味わった平成の怪物は、その伝説に幕を下ろした。

   ◇   ◇   ◇

怪物の前にスーパースターが立ちはだかった。レッドソックス時代に子どもたちを小学校へ送っていったときだった。正門でNFLペイトリオッツのトム・ブレイディが立っていた。登校する児童たちとパス交換をしながら迎えていた。「彼の子どもも同じ小学校に通っていて。同じボストンを本拠地にするチームのスーパースター。僕とはレベルが違う。僕自身も興奮したよ。かっこいいよね」。松坂は正門から少し離れた場所に止めた車内に身を潜めて、羨望(せんぼう)のまなざしを向けた。

当時、長男が通っていた少年野球チームでは少しだけヒーローになれた。試合、練習の合間を縫って練習を見学に行くと「一応、野球選手なので打撃投手ぐらいはできますよ。少しはかっこいいところが見せられたかな」と子どもたちの前で腕を振った。文字通り「松坂世代」の主役を張り続け、一時代を築いた。スポーツが大好きで、野球が大好きな、怪物だから多くの人たちを魅了することができた。【為田聡史】

【関連記事】松坂大輔「しびれで寝られない日々が」引退会見など/写真特集1

【関連記事】松坂大輔“魂の5球”は四球…引退登板すべて見せます/写真特集2