1度は逆転で盛り上がった神宮が、終盤に静まり返った。ヤクルトは4回に4安打5得点で逆転に成功するも、7回に7失点。高津臣吾監督(52)は「ひっくり返したところまでは良かったが…。あのイニングから逃げ切るのもすごく難しいが、ひと踏ん張りして、1つアウトを取れていたら」とうなだれた。

ミスが命取りとなった。3点リードの7回無死一、二塁。田口が宇草に中前打を許した。すべての走者が進塁したところで、スピードを緩めた。無死満塁のピンチ…と誰もが思ったとき、中堅手の塩見が後逸。打者走者まで一気に生還し、同点に追いつかれた。序盤の試合展開で沸いた球場が一変。ため息に包まれながら、塩見は顔を引きつらせ、天を仰いだ。打撃でも27打席無安打と不振。切り込み隊長として今季は攻守にチームをけん引してきたが、この日は振るわなかった。

2位阪神が勝利したため、優勝マジックは3のまま。ゲーム差を0・5に詰められた。それでも、阪神が残り3試合に対して、ヤクルトは5試合。数字的有利は変わらない。2戦無得点だった打線が、10安打7得点と光もある。指揮官は「泣いても笑っても先は見えている。全力で戦うだけ。負けることを、ミスを恐れてグラウンドに立つなんて絶対にしてほしくない。精いっぱい全力でプレーしてくれたらそれでいい」と切り替えた。【湯本勝大】